富士山「静岡初日」事故相次ぐ “低体温症”で動けず…救助の瞬間 危険な「弾丸登山」の対策効果は?
10日、富士山の「静岡側」が山開きとなり、多くの登山客が山頂を目指しましたが、事故も相次ぎました。10日夜、富士山の山小屋で撮影された映像には、9合目付近で遭難しかけた人が救助され、山小屋に運び込まれる瞬間が映っていました。
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10日夜、富士山の9合目で撮影された映像。
強い風が吹き、視界が真っ白ななか、数人が山の斜面へ駆けよります。すると、両肩を支えられた男性が…。山小屋の中に運び込まれると、周りの人が大声で呼びかけます。
男性は香港から来た38歳で、登山中に動けなくなり救助されたのです。毛布をかけられ、スプーンで温かい飲み物を飲んでいました。
救助に参加した人
「救助に行かなければ動けなかった。命につながるような危ない状況だったと思いますね」
救助に参加した人
「だいぶ体温が戻ってよかったです」
男性は初めての富士登山だったといい、一時、低体温症でしたが、容体は改善しつつあるということです。
10日、山開きを迎えた富士山の静岡県側。大きな荷物を背負い次々と登山者が山を登っていきます。開通したのは静岡側の3つのルートです。(※須走口、御殿場口、富士宮口)
登山者
「わくわくしてます。だいたい毎年来てたんですけど、山開きに来るのは初めてなんで」
これから富士山に挑む登山者が、まずしていたのは…
スタッフ
「確認完了しました。リストバンドをお渡しします」
受け付けで受け取ったリストバンドを腕に…。これは今年から始まった新たなシステムのひとつ。登山者は、登山ルートや山小屋の宿泊予約の有無などを、事前にWeb上で登録。さらに山小屋に宿泊しない場合は、午後4時以降の登山開始を自粛するよう呼びかけています。
こうしたルールができたワケ─。それは十分な休息をとらず、一気に頂上を目指す危険な“弾丸登山”を防ぐためです。
去年、富士山の9合目で撮影された写真には、複数の登山者が山小屋の外で寝転ぶ様子が写っています。さらに、ごつごつとした山の斜面で仮眠をとる人まで…。
こうした“弾丸登山”の危険性について、富士山の登山ガイドを務める水本氏は…
富士宮口ガイド組合 水本俊輔代表
「弾丸登山というのは、夜間に登るので、日中明るい状態と比べて危険因子が増えてしまう。富士山の登山中にけがしたり遭難する人は、やはり装備が不十分であるというのがよくみられる」
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“弾丸”ではなくても常にリスクを伴う登山。富士山では10日も事故が起きています。
警察と消防によると、午後2時すぎ、富士山山頂の剣ヶ峰付近で登山者から「40代から70代とみられる男性が転落し、意識呼吸がない」と通報がありました。
男性は火口に転落し、意識不明の重体とみられているということです。
私たちの取材中には…
男性(10日午後6時ごろ)
「赤いウエア。身長は165センチぐらい」
一緒に登山に来た友人と連絡が取れなくなったという男性がいました。雨のなか捜しに行くと…
妻
「帰ってきた!」
男性
「帰ってきた!よかった」
その後、友人と無事連絡がついたといいます。
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一方、“弾丸登山”などへの対策は、今月1日に山開きした、山梨県側の吉田口でも。1日の人数制限や通行料金の徴収などをすでに始めていて、さっそくその効果が…。富士吉田市によると、“弾丸登山の可能性”がある、午後5時から午前3時に6合目を通過した登山者は、去年の3分の1以下だったといいます。(※去年1647人、今年504人 期間:7月1日~9日)
ただ、以前から指摘されてきたゴミ問題はこれまでのところ、今年も改善がみられず…。5合目の公衆トイレには1日あたり45リットルのゴミ袋7袋分以上のゴミが毎日のように放置され課題となっているといいます。
求められる登山者のモラル。富士山の開山期間は9月10日までです。
(7月10日放送『news zero』より)