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水質改善は…五輪会場「お台場」潜水取材!

2020年7月30日 5:29
水質改善は…五輪会場「お台場」潜水取材!

1年後の東京オリンピックでは、トライアスロンなどさまざまな競技が東京湾を舞台に行われます。そんな中、今、東京の海の水質が問題となっています。さまざまな対策が打たれていますが、水質はどこまで改善したのか、日本テレビ水中撮影班が、特別に許可を受け、お台場の海で潜水調査取材を行いました。

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ザブン─。

水温は25度。光の届かないところではバディを見失いそうです。前を泳いでいる人がやっと見えるくらいの透明度です。

東京都は、海底に生物を呼び戻し、自然の力で水質を浄化するために、今年、伊豆諸島の神津島から10トントラック4000台分もの砂を輸送。このお台場の海底にまきました。その後、海に変化はあったのでしょうか?

水深は3メートル。ゆっくりと潜行すると、海底の砂地が見えてきました。海底には、水質改善のためにまかれた砂があります。砂には、汚れを吸着し、浄化して、生物を呼び戻す効果があるということです。

周辺を調査してみると、いたるところから何かニョキニョキ生えています。一見海藻のように見えるこちらは、『スピオ』という生物の巣です。管の中で海中の有機物を食べて暮らしています。

周りを見渡して、ほかに生物がいないか探してみると、やっと見つけたのは、貝とともに、岩の上にいる1匹のハゼ。エラを激しく動かしていました。浅瀬に目を向けると、釣り人に人気のクロダイやハゼの仲間、エビなど、さまざまな生物の姿をみることができました。

今のお台場の水質はどうなのでしょうか、専門家に聞いてみました。

海辺つくり研究会・古川恵太理事長「覆砂をしています。それによって新しい環境ができた。その新しい環境にすみつく生物が、順番にいろいろ出てくる。その第一段階としての生物の入り込みがスピオに見られた」

良い傾向がみられる一方、気になる点も─。

Q:激しく呼吸しているハゼは?

海辺つくり研究会・古川恵太理事長「酸素がなくなると“鼻上げ”と言って、酸素のある方向に泳いでいく。山のように高くなっているところを見つけて、少しでも酸素の多い状況で呼吸をしようと、エラを一生懸命動かしている状況」

東京湾では、有機物を分解する過程で、生物に必要な酸素が足りなくなってしまうのです。特に夏は、海底の生物を徐々に窒息死させてしまいます。今でも酸素が足りない状態は続いていました。

それでも、一歩一歩改善に向かっていることは確かです。

海辺つくり研究会・古川恵太理事長「オリンピックをきっかけにして、お台場の海域が、生き物にとっても人々にとっても優しい海域になっていく、そういう転換点になるのではないかなと思います」

オリンピックまであと1年。世界に誇れるお台場の海を目指して、取り組みは今後も続きます。

大会競技中は、大腸菌を含んだ汚い水を防ぐため、水中に三重のスクリーンを設置するとのことです。