元信者「まだまだ安堵はできない」 “統一教会”解散命令請求で初の審問
いわゆる“統一教会”の解散命令請求を受け、東京地裁が教団側と国側から意見を聞く「審問」が開かれました。教団からは田中富広会長が出席し反論。一方、元信者は“教団の変化”を感じていました。
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大きな分岐点に立たされている世界平和統一家庭連合、いわゆる“統一教会”。
記者(東京・渋谷区、22日)
「シャッターはしまっていますが、明かりがついていて人の出入りが確認できます」
22日、その教団の“今後”を左右する動きがありました。
午後1時半ごろ、審問に出席するため、教団側の関係者が車で東京地裁に入りました。助手席に乗っていたのは、教団の日本のトップ、田中富広会長です。
政府による「解散命令請求」から4か月あまり。教団側と国側の双方から裁判所が意見を聞く「審問」が初めて行われました。
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その5時間ほど前、解散命令請求を行った文部科学省のトップ・盛山正仁文科相が会見を行いました。
教団との関係が指摘され、20日に不信任決議案が否決されましたが、22日の会見では記者から“厳しい質問”が出ました。
――“統一教会”と大臣の関係を巡って、色々批判がある中で、ちゃんと対応してくれるのか?
盛山正仁文科相(22日午前)
「私に対する報道・評価によって、なんら左右されるものではないと」
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「審問」は非公開で行われました。国側は、信者らに多額の献金などをさせた行為が「法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる」として解散命令を請求。対する教団側は、「法令」がどの法律の条文を指すのか特定すべき、などと主張しています。
1時間弱行われた審問後、教団側の弁護士が取材に応じました。
“統一教会” 福本修也弁護士(午後4時ごろ)
「証拠関係の提出の形式的な内容。そのあと教団の代表である田中富広の方から意見陳述書を読み上げました」
審問では田中会長が自ら次のように意見を述べたといいます。
田中富広会長
「当法人が資金集めを目的とした団体だとの文科省の主張は明らかな間違い。安倍元首相が凶弾に倒れ、その犯人の願いどおりに国家が当法人の解散を目指して尽力するなど極めて異常な事態と言わざるを得ません」
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“解散”を巡る教団の動きを冷静に見守っていたのが元信者の男性です。
両親が教団に多額の献金 宗教2世の元信者(30代)
「“統一教会”が解散命令を受けるかどうかという戦いが始まっていくところ。やっと第二ラウンドが始まったのかなと。まだまだ安堵(あんど)はできない」
また男性によると、解散命令請求が出されて以降、教団に変化があったといいます。
宗教2世の元信者(30代)
「最近は毎日夜、韓国側での祈とう・お祈りする光景をYouTubeで日本全国・海外に中継している」
「“祈り”がかなりメッセージ性のあるもの。“日本で教団が解散請求を受けてしまっている” “私たち信者がこれを取り戻していかないといけない”と」
“ひとつになろう”などといった祈りが毎日ささげられているということです。
教団内部を知る人の話では、信者の気持ちにも変化がみられるといいます。
宗教2世の元信者(30代)
「報道をあまり見ないことで、ある意味(解散請求を)忘れてしまったかのような。日常を取り戻して、まるで解散請求がなされない既定路線があるかのような、そのような怖さを私は感じる。まずは結論がしっかり出るべき。速やかに解散命令が出ることを望んでいます」
今後、判断はどう進むのでしょうか。
宗教法人法に詳しい近畿大学法学部・田近肇教授
「事実認定に関わる問題はまだ残っているはずですので、まだひょっとしたら審問が何回か行われる可能性もないわけではない。違法な活動をしてたということであれば、宗教団体の目的とは違うという話になる」
宗教法人法に詳しい近畿大学法学部・田近肇教授
「今後もう1つ問題となるのは、問題の不法行為が教団の宗教法人の組織ぐるみで行われていたのかどうかも問題」
東京地裁は今後、審問で出た意見などをもとに解散を命じるか判断することになります。