数字で見る藤井八冠の凄さ “売り上げアップ”米や野菜にも?…経済効果「35億円」試算 【#みんなのギモン】
11日夜、将棋界で史上初の“八冠”が誕生しました。藤井聡太八冠のスゴさは、数字にこだわると見えてきます。
●最年少“独占” 記録の数々
●35億円超? 経済効果
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
藤井八冠は初タイトル獲得から最年少記録づくしで、八冠への階段をのぼってきました。
「棋聖」獲得は17歳11か月、そこから18歳で「王位」を獲得し二冠になりました。19歳で三冠を獲得し、四冠、五冠をとったのも史上最年少でした。20歳でこれまた最年少で六冠となりました。
そして今年6月に最年少、20歳10か月で「名人」の称号を獲得し、史上最年少の七冠を達成と最年少づくしです。
そして今回の史上初となる八冠達成でも、史上最年少で「王座」を獲得したのです。これだけではなく、数々の記録塗り替えてきました。
公式戦初勝利は14歳5か月で、加藤一二三・九段が持っていた14歳10か月の最年少記録を更新しました。
そこから16歳4か月で通算100勝に到達しました。これも羽生善治・九段の最年少記録を更新し、それまでの負け数も18敗と藤井八冠の方が少なかったのです。
18歳4か月の200勝も20歳5か月の300勝も羽生九段の最年少記録を藤井八冠が更新しています。
さらにすごいのは、その勝率です。300勝の時点で藤井八冠は勝率が8割を超えているのです。トップ棋士同士で争う中でこの勝率を誇っているからこそ、「史上最強」との呼び声が高いのではないでしょうか。
続いて、藤井八冠の“大きな経済効果”を見ていきます。
日本将棋連盟によると、年間の獲得賞金・対局料で去年、藤井八冠は初の1位となりました。
その時点では五冠でしたが、獲得した賞金・対局料は1億2205万円です。その前の年は6996万円で3位でしたから、一気にランクアップしたわけです。今年は八冠ですから、さらに高額になるのではないかと推測されます。
そして、今年5月、名人戦が行われた長野・高山村には多くのファンが詰めかけました。普段は人口が数千人の静かな村ですが、一変したのです。
また2021年、藤井八冠が王位戦の時に食べたおやつ「ぴよりん」も大人気になり、販売する店には大行列ができていました。今年7月の棋聖戦で食べた「カツハヤシ」も人気となり、直後は普段の3倍の注文があったということです。
藤井八冠が対局の時に食べる「勝負めし」や「おやつ」は軒並み大人気となります。本人の人気上昇も相まって、これだけでも大きな経済効果となるのです。
八冠となった藤井八冠が1年間に及ぼす経済効果の額を関西大学の宮本勝浩名誉教授が試算しました。
例えばファンが対局やイベントで藤井八冠が訪れた場所や泊まったホテル、藤井八冠が食べた食事などを求めて消費する額は、年間で約5917万円にのぼると推計されています。
また、全国に4か所ある将棋会館を訪れるファンも増えると見込まれ、そうしたファンが使う交通費や飲食費などの消費額が年間で約6億6744万円と推計されます。
さらに、藤井八冠自身のCM契約も増えると予想され、これが約2億円になると推計されます。イベントなどにも引っ張りだこになると予想され、これらの収入が約5000万円に、さらに関連本や将棋ゲームの売り上げも約3億円にのぼると仮定しています。
また、藤井八冠の活躍で将棋ファンも増えると予想されることから、将棋盤や駒の売れ行きも好調になると推計され、この効果が約2億円になります。
これだけではありません。例えば藤井八冠が食べた「カツハヤシ」が売れると米、野菜、肉を売る店も売り上げも上がります。店に利益が出ると、従業員やアルバイトの収入もアップする可能性があるわけです。
そうすると、その人たちが使う消費額も増えます。波及したその先で広がる経済効果を「二次波及効果」といいます。ここまで大きな経済効果が広がっていくだろうという試算なのです。
こうしたもろもろの直接、波及する経済効果をひっくるめて、年間約35億3487万円にのぼると分析されています。
八冠達成の“ご褒美”については考えていないそうで、勝っても負けても変わらずモチベーションを保つことを心がけているそうです。
やはり若い人の活躍というのは、日本全体を明るくするのではないでしょうか。その価値は中々、計測できないですが、未来に明るい価値が生まれることは間違いないはずです。
(2023年10月12日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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