「痴漢」の実態明らかに……都が初の大規模調査 女性の45%が経験、4割超「我慢、何もできず」 周囲が止める効果的な方法は?
東京都が初めて実施した痴漢に関する大規模調査によると、女性の45.4%、男性の8.6%に被害の経験がありました。電車内での対応としては「我慢した、何もできなかった」が4割を超えました。被害に遭った時や目撃した時にはどうすればいいのでしょうか?
■痴漢被害の8割以上は電車内で発生
有働由美子キャスター
「東京都が初めて、痴漢に関する大規模な調査を行いました。都内に住む、または通勤通学をする16~69歳の8284人の回答を分析。女性の45.4%、男性の8.6%が痴漢被害に遭ったことがあるという結果でした。痴漢被害の8割以上は電車内だったということです」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「電車内で痴漢に遭った際にどんな行動を取ったか、との質問に最も多かった答えは『我慢した、何もできなかった』で、40.7%もいました」
小野委員
「街で聞いてみました」
大学生(20代)
「人が多かったら逆に(声を)上げられないかもしれないです。自意識過剰だなって思われたら怖いかなと」
学生(20代)
「(当時)声を上げられなかったですね。(痴漢が)男の人なので、変に思われないかなって」
小野委員
「やはり被害者本人は声を上げにくいです。では、痴漢を目撃した場合はどうでしょうか?」
公務員(20代)
「女子高校生が痴漢に遭っていて(痴漢の)手を振り払ったことはあります。怖かったので恐る恐るだったんですけど」
会社員(20代)
「(望ましいのは)痴漢をされている人を助けること。(実際できるかは)ちょっとそれは自信がないですね」
有働キャスター
「落合さんならどうでしょう」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「電車が揺れたふりをして『ちょちょちょちょ! おっとっとっと』とぶつかってみるかな、と思います。ただ強い手段に出て誤解だと困ります。位置関係を動かす方法を考えると、わざと間に入るようなことをすると思いますね」
有働キャスター
「誤解があったら困る、と思う人もいるでしょうね」
小野委員
「(今回の令和5年度痴漢被害実態把握)調査では、『痴漢を目撃したのに具体的な行動を取らなかった』と答えた人は49.1%。その理由の多くが『確証が持てなかった』でした。それで踏み出せない場合があるといいます」
「ただ大事なのは、周囲の人が対応したことで、行動したことで痴漢が止まったケースは9割以上に上りました」
有働キャスター
「そうすると周囲の対応が大事ということになりますが、具体的にどうしたらいいのでしょうか?」
小野委員
「痴漢抑止活動センターの松永弥生代表理事に聞きました。被害に遭ったら体の向きを変える、『痴漢です』と声を上げづらい場合は『当たっています』『どけてください』など周りの2~3人に気付いてもらえるような声で言うのがいいということです」
「目撃したら、確証が持てなくても被害者に『体調悪いんですか?』と聞いてみるなど、さり気ない行動で痴漢を止めさせることもできます。(大切なのは)とにかく誰かが声を上げることだといいます」
小野委員
「また、痴漢対策の警視庁の無料防犯アプリ『Digi Police(デジポリス)』もあります。『痴漢です 助けてください』などと、画面に表示できます。まさに、周りの人とのコミュニケーションに使えます」
落合さん
「痴漢の多くが満員電車で起きることを考えると、満員電車に乗らなくていいように、学校や職場の対応をしていく方がいいと思っています」
「少しドラスティックですが、痴漢被害を防ぐための時差通勤や時差登校を検討するのもありかなと思います。その方が鉄道会社も助かるのではないでしょうか」
有働キャスター
「そういうやり方も含めて考えていかなければいけません。とにかく痴漢する人が卑劣なだけで、被害者は全く悪くありません。周囲の人が痴漢を止められるということは、もっと広まってほしいと思います」
「声をかけてくれた、というだけで被害者の恐怖が和らいだという声もあります。みんなで、ぜひできることを積極的にやっていきたいです」
(12月26日『news zero』より)