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中国籍の船が尖閣諸島周辺で「位置情報」発信…専門家“尖閣諸島での存在を世界にアピールする意図がある”指摘

2023年6月15日 5:43
中国籍の船が尖閣諸島周辺で「位置情報」発信…専門家“尖閣諸島での存在を世界にアピールする意図がある”指摘

沖縄・尖閣諸島周辺にたびたび侵入している中国籍の船が、今年3月以降、位置情報の発信を行っています。元尖閣警備巡視船隊の専門家は「尖閣周辺における自分らの存在を全世界に示すという意図がある」と指摘しています。

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私たちは沖縄・尖閣諸島の沖、日本の領海内で撮影された映像を入手しました。島のすぐ近くには、中国海警局の船が見えます。そして、その周囲を囲むように海上保安庁の巡視船が2隻いました。

映像を撮影した船に乗る人
「巡視船が(中国海警局と)我々の船の間に入っています」

尖閣諸島は、沖縄本島の西に位置しています。日本固有の領土ですが、中国が領有権を主張し、海警局の船がたびたび日本の領海に侵入しています。

この中国の船に新たな動きがありました。今年3月から“ある発信”を行っているのです。

外洋を航行する客船などは、安全のため自動的に船の名前や位置などのデータを送受信する装置「AIS(=自動船舶識別装置)」の搭載が義務づけられ、世界中の船舶の運航情報は、公開されたサイト「MarineTraffic」で確認することができます。

ただ、海上保安庁の巡視船など政府所有の船舶は、警備上の観点などから、任務中「AIS」のスイッチを切ることが多く、中国海警局の船も、これまでは尖閣諸島周辺で「AIS」の信号をほとんど出していませんでした。

ところが、「MarineTraffic」で最近の船舶の動きを見てみると、尖閣諸島の周辺で海警船の動きが記録されていました。海上保安庁の関係者によると今年3月以降、尖閣諸島周辺で位置情報を日常的に発信させるようになったといいます。

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尖閣諸島の警備をしていた巡視船の元指揮官に、中国側の狙いは何なのか聞きました。

元尖閣警備巡視船隊・指揮官 遠山純司氏
「行動の隠密性は保(たも)てませんが、尖閣周辺での自分らのプレゼンス(存在)を全世界に示すという意図があると」

尖閣諸島の実効支配を目指す中国が、国際社会に向けて始めた新たなアピールとみられます。実際に撮影された映像と運航情報を照らし合わせてみます。中国海警局の船2隻が、日本の漁船を追って領海に侵入してきました。漁船を守る日本の巡視船は、映像で確認できるだけでも6隻ありますが、海上保安庁の巡視船は位置情報を発信していないため、サイト上では中国海警船の2隻だけが島のそばで活動しているように見えるのです。

中国側はこうした“証拠”を残すことで、尖閣諸島における領有権を主張しているとみられます。

中国側の動きを受け、海上保安庁も「AIS」を出す必要はあるのでしょうか。

元尖閣警備巡視船隊・指揮官 遠山純司氏
「海上保安庁による尖閣の警備は、何層にも分けて彼らの侵入を阻止する非常に複雑なオペレーション。『AIS』をすることによって、手の内を読まれるデメリットがある」

今回、映像を撮影した石垣市の仲間市議は、現状に目を向け国に解決してもらいたいと話します。

映像を撮影した仲間均石垣市議
「やっぱり、自分たちの領海で自分たちが、静かに漁ができる環境。これを国が責任を持ってやってもらいたい」

(6月14日放送『news zero』より)

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