バイデン大統領が「G7広島サミット」に来ない? アメリカに“デフォルト”の恐れ…どうなる?
アメリカのバイデン大統領が「G7(=主要7か国首脳会議)広島サミット」に来ない可能性が出てきました。原因は、アメリカが抱える「国の借金の問題」です。このままでは、来月1日にも借金の一部が返せなくなる“デフォルト”状態となる恐れがあるといいます。バイデン大統領が来ない場合、サミットはどうなるのでしょうか?
■G7広島サミット“来ない”可能性…背景に「国の借金の問題」
有働由美子キャスター
「『問題が解決しなければ、G7に行かない』…アメリカ・バイデン大統領の発言ですが、来週に迫った『G7広島サミット』にバイデン大統領が来ない可能性があるということですか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「本当に驚きました。政府関係者に聞いたところ、一報が入った時には『え、本当に?』『もし来なかったら、どうなっちゃうんだ』という反応でした。外務省で広島サミットの準備を担当する関係者は『それはないと信じているけど、保証はない』と、それぞれ不安そうでした」
有働キャスター
「G7に行けなくなるほどの問題とは、一体どういうものなのでしょうか?」
小栗解説委員
「これは『国の借金の問題』です。実は、アメリカでは政府が借金をしてもいい上限が法律で決められていて、その額は日本円で約4200兆円です。この上限を、今年1月に超えてしまったのです。バイデン政権は『じゃあ、上限を引き上げよう』としていますが、野党・共和党は『政府の歳出の削減が条件だ』と主張しています。9日も協議が行われましたが議論は平行線ということで、議会の同意が得られる見通しが立っていません。このままだと、来月1日にも借金の一部が返せなくなる“デフォルト”状態となる恐れがあります。“デフォルト”状態になるとアメリカの金融システムが機能しなくなり、日本を含めた世界経済全体に大打撃を与えることになってしまいます。このため優先順位としては『債務上限の引き上げ』の方が『G7広島サミット』よりも高いということです」
「アメリカ政治に詳しい明海大学の小谷哲男教授によると、『バイデン大統領がG7に“1日~2日遅れて参加”、または“完全にキャンセル”、つまり日本に来ない可能性も十分ある』と指摘しています。一方、バイデン政権の中枢の人にも聞いてみました。すると、現状はですが、『バイデン大統領が日本を訪れることになんら疑いの余地はない』と答えています」
■オンラインで参加? 副大統領か国務長官が代わりに来日の可能性も…
有働キャスター
「まだ今のところ、どちらか分からないと…。仮にバイデン大統領が来ないとなると、サミットはどうなるのでしょうか?」
小栗解説委員
「『バイデン大統領がオンラインで参加する可能性はあり得る』と日米の外交筋は話しています。ただ、オンラインだと、今まさに岸田首相が調整中の“首脳らによる『広島平和記念資料館』の訪問”ができません。『代わりに、ハリス副大統領かブリンケン国務長官を行かせるのでは』ということも言われています」
有働キャスター
「あと9日に迫っての事態ですが、辻さんはどう思いますか?」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「ウクライナの危機、そして東アジアの緊張感も高まっている今、広島で行うというサミットの国際的意義は本当にかなり大きいです。経済も含めて、国際社会の中でのアメリカの役割は本当に大きいので、難しい葛藤だとは思います。ただ、金融危機に関しては今年の頭には大々的に報じられていたわけですし、せめてもう少し早めに経済対策が進められなかったのかとは思ってしまいます」
有働キャスター
「いずれにしても、議長国としては『アメリカが来ないと日本って何もできないよね』とならないように、来ない場合も想定したシナリオを、今から大変だと思いますけれども、作っておいてほしいと思います」
(5月10日放送『news zero』より)