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【解説】強い揺れで大きな被害が…中越地震から18年 地震活動に関する気象庁の注意喚起とは

2022年10月24日 21:32
【解説】強い揺れで大きな被害が…中越地震から18年 地震活動に関する気象庁の注意喚起とは
短時間に強い揺れが連続で発生し、土砂災害など大きな被害が出た新潟県中越地震から18年です。中越地震は「余震」活動が非常に活発だった地震の1つです。ただ現在は地震直後に「余震」という言葉は使いません。なぜなのでしょうか。大きな地震が発生したあとの「余震」への呼びかけが大きく変わるきっかけとなった地震がありました。社会部災害担当・内藤ミカ記者が解説します。【週刊地震ニュース

■東北地方で震度5弱の地震 先週は震度1以上の地震は25回

17日から23日までのこの期間、国内では震度1以上の地震が25回発生しました。このうち震度3以上の地震は3回でした。

▼19日午前11時3分頃、京都府亀岡市で震度3の揺れを観測する地震がありました。震源は京都府南部、地震の規模を示すマグニチュードは3.4震源の深さは8キロでした。

▼23日午後10時01分頃、青森市八戸市で震度3の揺れを観測する地震がありました。震源は青森県東方沖でマグニチュード4.0、震源の深さは60キロでした(速報値)

▼21日午後3時19分頃には東北地方で最大震度5弱の地震がありました。楢葉町で震度5弱の揺れを観測したほか、広野町や富岡町などで震度4となりました。地震の規模を示すマグニチュードは5.0、震源の深さは29キロでした。この周辺は元々地震活動が活発で2011年東日本大震災以降、さらに活動が活発化している海域です。

■新潟県中越地震から18年

2004年10月23日午後5時56分、新潟県中越地方を震源とするマグニチュード6.8、深さ13キロの直下型の地震が発生しました。この地震では、現在は合併により長岡市となった当時の川口町で震度7、小千谷市などで震度6強を観測するなど中越地方を中心に強い揺れに見舞われて大きな被害が出ました。土砂災害も多く発生しました。

走行中の上越新幹線が脱線するという衝撃的な事故もありました。営業運転中の新幹線が脱線したというのは初めての事象です。

長岡市の妙見町では大規模な岩盤崩壊があり、巻き込まれた車の中から地震から4日後に2歳の男の子が奇跡的に救助されました。

この地震で注目されたのが「震災関連死」です。地震直後の死者・行方不明者数はおよそ30人でしたが、その後、病院や避難先で亡くなる方、特に狭い車内での避難生活によるエコノミークラス症候群によって亡くなった方もいました。この地震による死者は68人、負傷者は4805人にのぼりました。

■規模の大きな地震が連続発生

中越地震の特徴のひとつは「規模の大きな地震が連続で発生したこと」です。夕方の6時前に最初にマグニチュード6.8、最大震度7の地震が発生。そのわずか3分後にマグニチュード5.3、震度5強の地震が。その4分後にはマグニチュード6.3、5強の地震。その後も地震が続き最初の「本震」から38分後にはマグニチュード6.5、最大震度6強の揺れとなりました。さらに地震から1週間以上経過してもマグニチュード5クラスの地震があったのです。

■熊本地震をきっかけに消えた発生直後の「余震」という言葉

このように「本震」のあと「余震」が発生した地震は多くあります。そして、ある地震をきっかけに、大きな地震のあとの揺れへの注意喚起の仕方が大きく変わりました。「熊本地震」です。熊本地震は2016年4月14日に熊本地方でマグニチュード6.5の地震が発生。その後もいわゆる余震が続いていましたが、2日後の16日には最初の地震を上回るマグニチュード7.3の地震が起きたのです。

それまで気象庁は、「本震-余震型」という“一連の地震活動において最初に発生した地震が最大規模である"という考え方があり、その後に続くのは、本震よりも小さい地震ということを念頭に、記者会見などでは「今後の余震活動に注意してください」と呼びかけていました。

ところが熊本地震では最初の地震のあとに、より大きな規模の地震が発生したのです。この時に認識を新たにしたことは『大きな地震が発生した直後にその地震活動が「本震-余震型」なのかどうかを見極めることが難しい』ということでした。

結果的に「余震」という言葉が、「より強い揺れは生じない、1つの安心情報として受け取られたのではないか?」と課題が出てきたんです。これをきっかけに気象庁は熊本地震以降、地震発生直後には「余震」という言葉を使わなくなりました。

■「余震に注意」ではなく「同程度の揺れに注意」

今年6月19日に石川県能登地方で最大震度6弱の揺れを観測する地震が発生した時の気象庁会見では「揺れが強かった地域では地震発生から1週間程度、最大震度6弱程度の地震に注意してください」と呼びかけています。このように「最初の地震と同程度の揺れに注意」を基本としています。

■熊本地震以降変わった注意喚起

また、気象庁は地域特性に応じた注意喚起を入れるといいます。例えば、近くに活断層がある地域ということへの注意喚起。

また熊本地震や新潟県中越地震のように、これまでに大きな地震が連続で発生したことのある場所では「より大きな地震の発生もありうる」と呼びかけるそうです。

■なぜ「今後1週間程度」?

石川県能登地方で震度6弱の揺れを観測した地震後の日ごとの地震回数グラフでは、震度6弱の揺れの地震のあと1週間後には震度1が数回発生するくらいまでに活動は低下しているのがわかります。

地震発生から2~3日のところを見てみると地震回数が多く、さらに震度の大きな地震も発生しています。このため気象庁は「特に今後2~3日程度は規模の大きな地震が発生することがある」と呼びかけています。

規模の大きな地震が起きたあとは、また大きな揺れが起きるかもしれないと考えて揺れへの備えが大切になります。