携帯値下げアクションプランでどう変わる?
10月27日、菅総理の肝いり政策の1つ「携帯料金の値下げ」について大きな動きがありました。政府が料金引き下げに向けた「アクションプラン」を発表しましたが、実現するのでしょうか?
■携帯料金 街の声は?
まずは、街の期待の声を聞いてみましょう。
会社員(20代)「だいたい(月額)1万5000円ぐらいなんですけど、高いなと思います。毎月その額払うと負担になって」
塾経営者(40代)「昔の固定電話の時代を思えば、通信料にこんなにお金かけていいのかなと思います。直感的には、半額ぐらいになってほしいなという気持ちはあります」
会社員(30代)「安くなると(携帯会社が)儲からなくなると思うので、それで5Gの設備やエリア拡大が遅れると困るので、そこはバランスとってほしいなと思います」
■料金値下げ どう実現する?
では、どうやって携帯料金の値下げを実現するのでしょうか?
10月27日、総務省が発表したのが「アクションプラン」です。このプランが目指しているのは、利用者に格安プランや格安業者への乗り換えを簡単にし、携帯大手3社と格安業者に公正な競争を促すということです。
それによって、料金のさらなる引き下げが起きるとみています。
政府が強制的に値下げはさせられないので、乗り換えや競争をどんどんさせることで料金の値下げを目指そうというわけです。これを実現するために、アクションプランは「3本の柱」を設定しました。
■第1の柱は? 専用サイトも開設
第1の柱は「分かりやすく納得感のある料金・サービスの実現」です。
この第1の柱で目新しいのが、私たち利用者が自分に合った料金プランを選ぶために参考になる、専用ウェブサイトの開設です。
プランの変更や他社への乗り換えをしやすくするためのステップを示した「ガイド」のような内容だといいます。これを総務省が年内にも立ち上げるとしています。機能すれば値下げ実現に向けて効果があると専門家も述べています。
■第2の柱は? 格安業者へのレンタル料 値下げ求める
そして、第2の柱は「事業者間の公正な競争」です。
格安の業者は、大手3社から回線を借りていて、その回線使用料、つまりレンタル料金を払っています。これを下げてもらうことを大手3社に求めていきます。それによって格安業者が、さらに料金を下げたり、魅力的なサービスを生み出すことにつながるとしています。
■第3の柱は? “メアド変わらず”乗り換え
第3の柱は「乗り換えを手軽に」です。
いま、日本の携帯市場の現状は、大手3社と契約している人が約86%なのに対して、格安業者を使っている人は約13%しかいません。なぜ、格安業者に乗り換えないのでしょうか?街からはこんな声がありました。
会社員(20代)「登録しているものを再度変えたりとか、電話番号でいろんな認証したりするので、それを再度やらないといけないのは面倒ですよね」
主婦(40代)「元々ドコモだったのをソフトバンクに変えたとき、メールアドレスが変わったことで、子供の学校関係の連絡先をすべて変えなくちゃいけなくて、連絡しなきゃいけなかったりとか、仕事関係とかいろいろあったので、そういうのがなくなるのであれば」
そこで、今回のアクションプランはこんな取り組みを打ち出しました。他社に乗り換える際に番号を変えずにすむ“ナンバーポータビリティ”。これまで、大手は原則3000円の支払いを求めてきましたが、これを無料化。
さらに、「メアドが変わってしまう」という声に応えるため、会社を乗り換えても「メアドが変わらないサービス」、これらの検討を求めていくとしています。
専門家に聞くと技術的には可能だそうで、例えばドコモに来たメールを他社に転送することなどで実現できるということです。
ただし、他社からさらに他社に乗り換えたときにどうするのか?などの問題があるので、2020年度内には実現できるかどうか検討が行われるということです。
■アクションプランで料金は下がる?専門家は
他にも、中古のスマホ端末を流通しやすくするなどアクションプランは色々ありますが、このアクションプランで私たちの携帯料金が本当に下がっていくのか?IT業界に詳しい石川温さんに聞きました。
石川さんは、総務省のアクションプランについて「即効性はない。数年かけて競争を促すプランで、すぐに値下げにはつながらない」としています。利用者への注意点としては「じっとしてても値下げにはならない。利用者もアクションしないとだめ」ということです。
つまり、いまの携帯会社のままじっと待っていれば料金が安くなるわけではありません。政府の値下げ圧力は高まっているので、各社はいずれ新しい料金プランを打ち出します。各社のプランが出たら、みなさんもどれが自分に合うか料金を安くするアクションを積極的にしてほしいということでした。
今回のアクションプランは、私たちみんながプランの見直しや乗り換えをすることが前提になっています。専門のウェブサイトを作ることも盛り込まれていますが、できるだけわかりやすく作ってほしいと思います。
(2020年10月27日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)