1人平均450円 こども・子育て支援金、政府が試算発表
新たなこども・子育て政策のために創設される「支援金」について、国民1人あたりの平均の負担額が、ひと月450円程度と発表されました。
「子ども・子育て支援金」は社会全体で、こどもや子育てを支えるという理念のもと、個人と企業などから公的医療保険料に上乗せして集めるものです。
2028年度には、新たな少子化対策の財源3.6兆円のうち、1兆円の「支援金」を個人と企業から集めます。政府は、この支援金について、国民1人あたりの平均が、徴収開始の2026年度には、ひと月250円程度、満額となる2028年度は、ひと月450円程度になるという試算を発表しました。なお、この額は、実際には支援金を納めないこどもなども含めた全体の人数で割った平均額だということです。
実際に納める支援金の負担額は所得に連動し、会社員と自営業者など、加入する医療保険の種類によっても異なりますが、医療保険料の5%ほどになる見込みだということです。
支援金の使い道は法律で定められ、児童手当の所得制限撤廃や高校生年代までの支給延長、親の就労にかかわらず、保育所を利用できる「こども誰でも通園制度」、妊娠・出産時の合計10万円相当の給付金、両親ともに育休を取得すると手取り10割相当を支給する制度、育児時の時短勤務中の賃金10%支給などに使われます。
政府は、支援金制度導入で実現する、これらの政策を、こども1人あたりでみると、高校卒業相当までの合計で、新たに約146万円分が給付される計算になると説明しています。
では、実際に納める支援金の額は、どの程度なのか。満額になる2028年度について、政府の試算で詳しく見ていきます。支援金の額は所得に連動するので、個人で異なりますが、平均的な所得の場合を想定します。
まず、会社員などが加入する被用者保険では、1人あたり、
▼中小企業の協会けんぽで月700円程度
▼大企業の健康保険組合で月850円程度
▼公務員などの共済組合で月950円程度だということです。
各個人と同じ額を企業なども納付する見込みです。
一方、自営業者などが加入する国民健康保険の場合、世帯ごとに人数分の支援金を納める仕組みです。所得に連動しますが、平均的な所得の場合、ひと世帯あたり、平均で月600円程度になるということです。なお、こども(高校3年生にあたる年代まで)は支援金を負担しないので、世帯の人数からこどもは除いて支援金の額を計算します。また、低所得者については支援金の軽減措置があります。
75歳以上の後期高齢者では、1人あたり月350円程度で、低所得者の軽減措置があります。
政府は支援金1兆3000億円のうち、1兆円を個人や企業などから集め、低所得者の負担軽減措置などのために必要な約3000億円については、公費(税金)で賄う見通しであると新たに発表しました。この3000億円は、歳出改革や既定予算の活用によって生み出し、国民に新たな負担は生じないと説明しています。
政府は支援金制度ができても、賃上げなどを勘案すると「実質的に国民に追加の負担は生じない」などと強調し、野党などから批判されてきました。国会で、この制度について審議されますが、負担と給付の詳細や「社会全体でこどもや子育てを支える」という理念について、国民の理解が得られるよう、政府には丁寧な説明が求められています。
加藤こども政策担当相は29日の閣議後会見で、「今後の法案審議においても、ライフステージを通じた経済的支援の強化、全てのこども・子育て世帯への支援拡充、共働き共育ての推進を柱とする給付の拡充と、それを支える支援金制度の意義や内容について、政府案の考え方をしっかりと伝えていきたい」と述べました。