「皿洗いで無料」王将が閉店 最後の思い
京都市にある「餃子の王将」出町店。店の前の張り紙には…
「めし代のない人 お腹いっぱいただで食べさせてあげます」
いったいどういうことなのでしょうか。
店主・井上定博さん「2円なかったらええよまけとくよ。ギョーザ2人前サービスするわな」
気前のいい接客をしています。井上さんが特に気にかけていたのが、お金のない学生たちです。
井上さん「僕はいつも言うんやけどね、その一食が明日につながるんやね」
井上さんは40年ほど前から皿洗いを手伝うことなどを条件に食事代を無料にするサービスを始めました。衛生上の理由で2年前に「皿洗い」はなくなりましたが、仕送りが遅れている学生などには無料で食事の提供を続けました。
井上さんが無料で食事を振る舞った学生はなんと3万人にものぼります。
店のノート「久しぶりにお腹いっぱい食べることができて本当にありがたかったです」「次はお金持ってきます!」
多くの学生たちに感謝されながら続けてきた店。しかし…店の前に集まる多くの人々。実はフランチャイズ店の契約が終了するため、井上さんは先月末で店を閉めることを決めたのです。
最終日、店が閉まることを惜しんでお客さんたちが駆けつけ、これまでの感謝の気持ちを伝えました。
神奈川から来た客「きょうで閉店と聞いたので、大変お世話になっているから、ここに来るために新幹線に飛び乗ってきました」
学生時代に無料で食べた客「仕送りが少なくて食べられないときとかはよくお世話になっていて、皿を洗わせていただいて、それでお腹を満たしてということで飢えをしのいでいたときがあったので」
そんなお客さんたちに井上さんは――
井上さん「(無料で食べた)子がそのときから困った人に手を差し伸べてあげるようなことをしてくれたら、俺のやっていることは、俺は報われるやろう。それを繰り返すと(人助けが)順繰りになると思うんやわ」
常連客などの拍手に包まれる中、長年にわたりお金に困る学生を支え、愛された店が幕を下ろしました。