“施工不良”で橋にヒビ…工事関係者が証言
耐震補強されたにもかかわらず、中央自動車道をまたぐ橋に、2本のヒビ割れが。工事で、本来入れるべき鉄筋が入っていなかったというのです。9日、国会で野党が関係者から聞き取りを行いました。なぜ、施工不良が起きたのでしょうか。
◆今年3月に耐震補強工事終了…橋の土台にヒビが
施工不良が発覚したのは、下を中央自動車道が走る東京・日野市の「緑橋」。今年3月に耐震補強工事が終わったということですが……。
写真に写る、縦に入った亀裂。NEXCO中日本によりますと、今年9月、工事が終わった後にもかかわらず、橋の土台「橋台」に2か所のヒビ割れが新たに発見されたということです。本来、鉄筋を縦方向と横方向の網目状に入れる必要があったといいますが、実際には横の鉄筋8本が入っていませんでした。ヒビも、この施工不良によるものとみられています。
NEXCO中日本は速やかに再工事を行うとした上で、「通常時の安全性に支障はなく、大規模な地震が発生したときに倒壊するおそれがある」などと説明していますが、生活道路となっている「緑橋」を利用する地元の住民は──
地元住民(70代)「高速道路から橋までの距離は結構高いんですよね。ドーンと落ちた場合は怖いですね」
◆二次下請けの会社は“途中で気がついたが対応怠った”と
今回の工事を受注したのは、福岡県宗像市にある『大島産業』。そこから一次下請け、さらに二次下請けと工事が発注されています。
なぜ鉄筋が入っていない事態が起きたのでしょうか。
二次下請け『吉岡建築設計』の責任者・吉岡史人会長は、国会で野党のヒアリングに対し──
吉岡史人会長「鉄筋を抜いたことによるわずかな利益のために、大島産業がわざわざやらなかったとは非常に考えづらい。どこかのタイミングで間違えてしまったことがわかった時点、そこからの対処ですべては決まる」
鉄筋が入っていないことに途中で気がつきながらも、対応を怠ったといいます。
◆大島産業は“二次下請けにも過失”と
一方、大島産業は取材に、「施工管理が十分でなかったことにより発生した」としつつも──
大島産業『一次下請けの会社が現場を監督しており、さらに二次下請けの会社が直接施工を担当していたもの』
直接工事を担当した二次下請けにも過失があるとしています。
安全を脅かす橋の施工不良問題。大島産業は他にも、福岡県を中心に国や県などから過去10年で20件以上、工事を受注していて、九州地方整備局などは調査するとしています。