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日本初“ステマ規制”、NG例は?――やらせレビュー、「#PR」隠す、小さな表記 広告主に罰金も…インフルエンサーは対象外

2023年3月30日 10:46
日本初“ステマ規制”、NG例は?――やらせレビュー、「#PR」隠す、小さな表記 広告主に罰金も…インフルエンサーは対象外

消費者庁が10月から、ステルスマーケティングを規制します。広告であると明確かどうかが取り締まりの基準で、その対象は広告を出す事業者のみ。消費者問題に詳しい弁護士からは課題を指摘する声が上がります。実際の線引きや、事業者への効果を考えます。

■ステマかどうか…規制する2つの基準

有働由美子キャスター
「広告であることを隠して宣伝するステルスマーケティング、略してステマ。これを10月から規制すると消費者庁が発表しました。日本では初めてです。どんな宣伝だとダメになるのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「ステマかどうか、取り締まりの基準が新たに示されました。大きく分けて2つあります。1つ目は、広告であることか明確かどうかです」

■「誰が見てもPR」…観光大使はOK

小栗委員
「例えば商品を紹介する際に、広告と分かる表記が小さかったり、薄かったりする。または大量のハッシュタグの中に『#PR』を埋もれさせる。こういったものはダメになります」

有働キャスター
「確かに、長い文章の中にしれっとあると気づきにくいですね」

小栗委員
「または、ある観光大使が『このリンゴおいしいですよ』など、誰が見てもPRであることが分かる場合は大丈夫です」

「そしてもう1つ大きな特徴は、取り締まりの対象は、広告を出す事業者だけ、という点です」

「例えば事業者がインフルエンサーに無償で化粧品を渡し、このインフルエンサーが自由に感想を投稿するのはOK。ただ、事業者が化粧品に高い評価をつけてもらうために、何かしら謝礼を渡し、いわゆる『やらせレビュー』を書いてもらうのはダメということです」

「そしてこれらの違反があっても処分されるのはあくまで広告主で、インフルエンサーは処分されません」

■違反で…罰金または懲役の可能性も

有働キャスター
「この規制でステマはなくなるのでしょうか?」

小栗委員
「新たにステマも含まれる景品表示法への違反が続くと、300万円以下の罰金、または2年以下の懲役となる可能性があります」

「ただ、消費者問題に詳しい日弁連消費者問題対策委員会の板倉陽一郎弁護士は『謝礼にあたるかどうかの判断基準についてまだグレーな部分が多く、インフルエンサーに良いレビューを書いてもらったかどうかを証明するのは難しい』と指摘しています」

「また海外ではインフルエンサーも規制対象にするケースも多く、河野消費者担当大臣は『中長期的にはインフルエンサーについても海外同様、規制対象とすることも検討し得る』という考えを示しています」

■辻さん「既に自主規制的な変化」

有働キャスター
「辻さんはまさに広告業界でお仕事をされていますが、この動きはどう見ていますか?」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「広告主やインフルエンサーだけでなく、SNSなどのプラットフォーム側もルールを設けたり、ここ数年で既に自主規制的な変化はかなり起こっている印象はありました」

「そのため少し今更な気はしつつも、それでもまだ変わっていない事業者に対しては一定の効果があるように思います」

「消費者の意識も変わってきているので、例えばコンプレックスを過度に煽るような表現なども含めて、モラルに欠ける発信が結果的にブランドの信用を毀損することにもなり得るのではないかなと思います」

有働キャスター
「お恥ずかしながら私も最近、ちょっとおかしいな、ということがありました。ばれたら信用を失うよ、罰せられるよ、というルール作りはしっかりと進めてほしいと思います」

(3月29日『news zero』より)