「子育て支援金」あなたの負担は? 年収600万なら“月1000円”…「こんなんで少子化改善するの?」 “500円”はどこへ
国民から公的医療保険を通じて集める「子ども・子育て支援金」。これまで「1人平均500円」という試算もありましたが、政府は 9 日、会社員などが負担する年収別負担額の試算を発表しました。政府の説明通り、実質的な負担増にはならないのでしょうか?
藤井貴彦キャスター
「月500円の負担、というニュースを覚えていらっしゃるでしょうか? 年収600万円の人で、4年後の2028年度に月1000円の負担ということです。政府は9日、『子ども・子育て支援金』を会社員などがどのくらい出すことになるのか、その負担額を発表しました」
「SNS上では『月500円だと思ってたらどんどん増えてるんだが』『こんなんで少子化改善するの?』といった声が上がりました」
「“異次元の少子化対策”のため、国民みんなから支援金を集めてその一部に充てるものです。2028年度で年収200万円の被保険者は月の負担が350円、400万円なら650円、600万円なら1000円、800万円なら1350円、1000万円なら1650円との試算が示されました」
藤井キャスター
「当初は『平均500円』という試算もあった中で、なにか表現が変わっただけなのですか?」
小栗委員長
「そうです。同じ負担額について、別の視点から試算したということです。これまでは会社員や公務員の家庭で夫婦と子ども2人の4人家族なら、1人あたり500円ずつ負担すると試算していました」
「今回は、年収で見るとどうなるかを示したものです。例えば、夫婦共働きで収入がそれぞれ600万円なら、負担は1000円ずつで2000円。家族全体で見れば、負担額は同じです」
藤井キャスター
「ただ、初めは『月500円』とずっと言われていました。『少し負担が増えるのでは』という懸念の声にはどう答えるのでしょうか?」
小栗委員長
「岸田首相は、賃上げと歳出改革で実質的な負担増はないと主張しています。こども家庭庁は、国民から集める支援金の総額は約 1 兆円で変わらないとしています」
「そのため、賃上げで国民全体の収入が上がり、例えば年収1000万円の人がどんどん増えていったら月々1650円ずつもらうことになり、1兆円を超えてしまいます。するとその分、全体の負担額を下げればみんなの負担感も減っていく、という説明です」
藤井キャスター
「つまり、1 兆円以上は集めませんよということですよね?」
小栗委員長
「その通りです。ただ8日発表された働く人たちの実質賃金(2月、前年同月比)は1.3%減で、23か月連続のマイナス。過去最長の減少となっています。説明通りに負担感が本当に減るのか、絵に描いた餅になる可能性も否定できないですよね」
藤井キャスター
「一番大切なのは、子どもを育てやすい、産みやすい社会になるかどうかですよね」
小栗委員長
「政府は国民から集める支援金の使い道を、『児童手当の拡充(高校生まで)』と『こども誰でも通園制度』、『妊娠・出産への給付(10 万円相当)』、『育休で手取り10割の支給』の4つに限定しています。政府は3年間で改善したのかその効果を検証するとしていますが、どう検証して見直すかを決めておく必要がありますよね」
波瑠さん(俳優・『news zero』火曜パートナー)
「今後、もし私が子育てをすることになったとしても、今回の話を聞いて『安心だ』という感覚は正直持てなかったです」
「未来に向けた取り組みだとは思いますが、子育てをする人もしていない人も、“じぶんごと”だと感じられる説明をしてほしいなと思いました」
「子育てというワードを聞いただけで『自分には関係ない話だ』と聞き流してしまわずに考えてほしいなと思いました」
(4月9日『news zero』より)