時短要請で逆に密に?人口密度が1.5倍に
年末年始を目前に感染者の増加が止まりません。いま、最も危惧されているのは飲食の場における感染の拡大です。さらなる時短要請も取り沙汰される中、時短要請すると逆に密になったというデータも。外食での感染を減らすにはどうすればいいのでしょうか。
■クラスターの発生件数 飲食店で急増
東京では24日、新たに888人の新型コロナウイルスの感染が確認されました。ちょうど1週間前の821人を超えて過去最多を更新しました。なお、重症者は73人と、前日23日から4人増えました。
年代別の内訳をみると20代が240人と最も多く、30代から50代も増えていて、活動が活発な若者から中高年が増えています。23日に政府の分科会が示した資料から、クラスターの発生件数を分析してみると、福祉施設での発生が一番多いことがわかります。しかし、注目したいのは飲食店が増加していること。特に、11月中旬から12月中旬までの間、福祉施設をはじめ、企業や学校、医療機関ではクラスターの発生が減っているのに対し、飲食店は逆に急増しています。
こうしたことから分科会は、東京都などを念頭に飲食店の時短営業要請を強化して、営業時間のさらなる短縮を求める必要があると提言しました。
これに対し、小池都知事は、「協力頂ければそれにこしたことありませんが、現実は厳しいところがあろうかと思います」 と話し、時短要請で閉店時間を前倒しした場合、協力する店舗が少なくなると否定的な考えを示しました。
■菅総理“時短要請応じない飲食店への「罰則」は必要”
分科会では、飲食店などの時短営業に関わる特別措置法の改正案についても話し合われました。改正案には、時短営業の要請に応じた店への財政支援のほか、応じない店に罰金を科すなどの罰則を盛り込む案も議論されました。
これについて、菅総理は
「時間短縮についての規制、罰則、そしてまた給付金、そうしたものをセットで必要なのではないかなと私自身は思っています」 と述べ、時短要請に応じた飲食店への給付金と応じない飲食店への「罰則」をあわせて盛り込む必要があるとの考えを示しました。
■時短要請すると、逆に「密」に?
こうした中、少し興味深いデータも。飲食店に対して時短要請をすると、逆に店内が密になってしまうというのです。これは、飲食店の予約システムを運営する会社が東京都のおよそ2000店舗のデータをもとに、午後6時から10時までの店内の人口密度を調べた結果、分かったものです。この夏の“第2波”で東京都全域に2回目の時短要請が出された8月3日から31日の期間の前後で比較すると、その前の同じ期間の人口密度を1とした場合、時短要請が出されていた期間はおよそ1.5倍に増え、その後、時短要請が解除されると、1近くに戻っていたということです。
ではなぜ時短要請中に人口密度があがったのでしょうか。実は、第2波の時は時短要請中でも来店人数が増加し続けていました。そのため、結果的に短い営業時間に大勢の客が押し寄せることになり、時間あたりの来店客数が増えてしまったと考えられます。
調査を行った会社は、今回の第3波でも、10月に始まったGoToイートをきっかけに外食をする人が増えていることから、密を避けるためには時短要請ではなく、むしろ、営業時間を延長しながら時間あたりの来店客数を減らすよう、調整することが有効だと提案しています。
■低下する「マスク着用率」 分科会は着用の徹底呼びかけ
12月23日の分科会では、マスクの着用率についても指摘がありました。屋外とスーパーやコンビニなど屋内での着用率は3月の時点で80%程度、10月になると屋外約88%、スーパーなどで98%と非常に高くなっていました。しかし、12月に入ると、コロナ慣れがあるのか両方とも下がってきています。こうしたことから、分科会は改めて食事の場面も含めてマスク着用の徹底を呼びかけています。
例年なら、今頃は忘年会やクリスマス、帰省など家族や友人と集まって楽しく過ごす時期だけに、旅行も外食も控えることに本当にやりきれない思いを抱いている人も多いと思いますが、ここで歯止めをかけなければさらに状況が悪化することは避けられません。2021年を明るい年にするためにも、いまここが踏ん張りどころです。
(12月24日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)