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練馬区が職員2人に約3700万円を賠償請求へ 納税ミスで税務署が追徴 「個人」負担のワケは?

2023年10月5日 6:10
練馬区が職員2人に約3700万円を賠償請求へ 納税ミスで税務署が追徴 「個人」負担のワケは?

区の職員が、約3700万円を賠償請求されることになりました。東京・練馬区で、納税をめぐる業務でミスをしたためだといいますが、なぜ、公務員が「個人」で支払うことになったのでしょうか。

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4日午後、東京都の練馬区が“謝罪会見”を開きました。

練馬区 副区長
「この度は、誠に申し訳ございませんでした」

練馬区 総務部長
「税を徴収する立場の区が、多額の加算税を課され、それを区民の皆様に負担していただくということは、到底、理解を得られるものではないと考えております」

この問題について、区民は困惑していました。

練馬区民
「なんでかな…気づかないのかな?」
「いやーそれはやっぱり、“示し”がつかないと思うので」

いったい、何があったのでしょうか――。

練馬区によると、次のような経緯がありました。
今年6月、区の職員にボーナスを支給しました。そのボーナスに課された「源泉所得税」を、本来7月10日までに支払うべきところを、納付期限の勘違いにより、1か月遅れで支払ってしまったことが、税務署からの指摘で判明したのです。

さらに、2021年と去年にも同様のミスが判明し、納付遅延のペナルティーとして、区に対し、合わせて約3700万円が追加徴収されることになりました。

練馬区は、その賠償を当時の担当課長2人に求める方針だというのですが……。

    ◇

4日の会見で「“個人”に数千万円の賠償を求めるのは、きついと思うが?」と問われると、練馬区は「地方自治法においては、職員の賠償責任という規定がありまして…」と話し、重大な過失により損害を与えた場合、職員が賠償する規定になっていると説明しました。

これについて練馬区民に聞くと、賛否が分かれました。

練馬区民
「全員分のものを2人が肩代わりしなければいけないのかといわれると、僕はそうは思わない。2人に払わすのは、かわいそう」

練馬区民
「しょうがないし払うべきだとは思うんですけど、そこまで払うんだったら、もともと遅延しなければよかったし、そういうのに詳しい方々なので致し方ないけど…」

練馬区民
「払ったもの(税金)をちゃんと扱ってもらえないと、『払ってるのに…』みたいな気持ちにはなる」

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自治体の職員に対する賠償請求は、これまでにもありました。

今年5月、神奈川県川崎市の小学校で、プールの水が5日間、出しっ放しになった問題。
30代の男性教諭が機械の操作を誤り、プール約6杯分の水を流出させ、水道代は約190万円にのぼりました。

川崎市によりますと、市は、その水道代の半分の約95万円を男性教諭と校長に損害賠償請求し、先月、納入されました。約95万円は、2人が“自腹”で支払ったということです。

このとき、市の教育委員会には、「先生に負担させるのは、かわいそう」、「先生の“なり手不足”が加速するのではないか」といった電話やメールが相次ぎました。

意見の多くは、「個人」への損害賠償請求に反対するものだったといいます。

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今回の練馬区の賠償についても、「個人」に“請求”される方針ですが……。

練馬区 総務部長
「当区の管理職の多くが、万が一の場合に備えて、“地方公務員 賠償責任保険”というのに加入しております。今回、賠償責任に関わると思われる職員について、加入については確認しております」

今回、賠償を求められる区の担当課長2人は、公務員がミスをした際に損害が補償される「保険」に加入しているため、支払いは「保険」でまかなわれるということです。

(10月4日放送『news zero』より)

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