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「危険運転致死傷罪」要件見直しへ 後を絶たない死亡事故…遺族「生の声を取り入れて」

2025年2月11日 0:49
「危険運転致死傷罪」要件見直しへ 後を絶たない死亡事故…遺族「生の声を取り入れて」

悪質な運転による死亡事故が後を絶たない中、「危険運転致死傷罪」の要件の見直しについて、10日に動きがありました。遺族が、苦しい胸の内を明かしました。

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弟を事故で亡くした 長文恵さん
「昨日2月9日は(事故から)丸4年。苦しみの時間はまだまだ続くと思っているんですけど、なぜこのように長いのかという問題は、この事故が危険運転致死罪にすぐにもっていけなかったこと。私たち遺族の生の声を、ぜひ取り入れていただきたい」

10日に会見を開いたのは、4年前に交通事故で弟を亡くした長文恵さん。弟の小柳憲さんは、大分市内の県道で車で右折しようとしたところ、法定速度の3倍以上にあたる時速194キロの車に衝突され、亡くなりました。

時速194キロで運転、衝突したのは、当時19歳の男。検察は当初、被告の男を法定刑が懲役7年以下の「過失運転致死罪」で起訴。

その後、遺族が署名を集めるなどして起訴内容の変更を求めたところ、法定刑が懲役20年以下の「危険運転致死罪」への変更が認められました。

そして去年11月、懲役8年の実刑判決が言い渡されましたが、検察側と弁護側の双方が控訴し、事故から4年がたっても裁判は続いています。

弟を事故で亡くした 長文恵さん
「過失(運転致死罪)で起訴されるまで1年5か月かかってしまっていることと、その後、遺族が声を上げて訴因変更したこと。裁判までそれから約2年たっているので、この時間は遺族にとって非常に苦しい時間であることは変わらない。194キロというこの速度が、一般的に考えて、いくらなんでもの速度だと思う。いくらなんでもっていう速度ですら、なかなか起訴してもらえない現状。これが一番の問題だったと思います」

こうした遺族の声が上がる中、鈴木法相は10日、「危険運転致死傷罪」の適用基準の見直しについて、法制審議会に諮問しました。

法務省の検討会では去年11月、血中や呼気のアルコール濃度や速度に数値基準を設けることなどが提言されていて、今後、法制審で議論されます。また、タイヤを滑らせるなどのいわゆる「ドリフト走行」を対象とするかどうかも議論される予定です。

弟を事故で亡くした 長文恵さん
「194キロっていう速度の遺族ですので、基準が設けられれば当然該当すると私は考えていて、ただそこ(基準)に満たないという部分について、これは“危険運転”問えないねって、簡単に諦めてしまう話でもないと思うので、少し慎重に議論しなければならないと考えますが、私のような戦わなければならない人は、少なくなるのでは」

なくならない、“危険運転”。

福岡県で9日夜に行われていたのは、飲酒運転の「特別取り締まり」です。2011年に高校生2人が飲酒運転の車にはねられ命を奪われた現場を含む、県内27か所で行われました。

呼気からアルコールが検出され、警告を受けた80代の男性は。

警告を受けた男性80代
「(午後)7時半ごろに缶ビール1本だけ飲みました。僕は事故は起こさないという自信があったから」

今回の取り締まりで、酒気帯び運転の疑いで7人が検挙されたほか、4人に警告が行われました

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一方、10日に埼玉県の警察学校で警察官らに講演を行ったのは、2009年に当時小学4年生だった息子・孝徳くんを事故で亡くした小関代里子さん。

息子を事故で亡くした 小関代里子さん
「最愛の息子の命を奪われた日。私は事件によって人生を壊されました。あの日なにがあったのか、真実が知りたいです。憎みたくても、誰を憎んでいいのかわかりません」

自転車で帰宅途中、埼玉県熊谷市の路上で車にはねられた孝徳くん。警察はひき逃げ事件として捜査していますが、今も未解決のままです。代里子さんは事件解決を求めるとともに、死亡ひき逃げ事件の時効撤廃についても訴えました。

息子を事故で亡くした 小関代里子さん
「2029年に時効が成立してしまえば、息子をひき殺した犯人は罪に問われなくなってしまいます。人の死に関連する事件は、時効を撤廃すべきと強く願います。警察の皆さまには、1日も早く犯人を逮捕してほしいです。お願いします」

(2月10日放送『news zero』より)

最終更新日:2025年2月11日 0:49