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誰もわかってくれない…新型コロナ後遺症

2022年5月20日 13:23
誰もわかってくれない…新型コロナ後遺症
新型コロナウイルスの感染が収まる気配のない中、思いもよらぬ後遺症に苦しむ人たちがいます。しかも、そのつらさが、なかなか他人には理解してもらえないといいます。長期化するコロナ後遺症との闘いを取材しました。

誰も分かってくれない…新型コロナ後遺症。

佐々木ゆりこさん(仮名・16)「何もできない。しようと思っても…体が動かなくて」

10代の若者が、後遺症に苦しんでいました。16歳の佐々木ゆりこさん。去年、5月に新型コロナに感染。療養期間を終えた後も、ひどいけん怠感やめまいがおさまらず、一日のほとんどを横になって過ごすようになりました。

佐々木ゆりこさん「もう…早く、前みたいな生活をしたいと思っとるし、できることはしたいって思うんですけど、できないから、つらい…」

以前は、活発な性格だった、ゆりこさん。4月に念願だった高校に入学した矢先のコロナ感染。欠席が増える中、進級も危ぶまれ、ゆりこさんは自主退学せざるを得ませんでした。

佐々木ゆりこさん「(高校には)1か月も行っていないと思います。自転車通学だったんですけど、行く途中がめちゃくちゃきつくて、もう倒れそうになるくらいで、全然行けなくて」

お菓子づくりを学び、パティシエになりたい。夢に向かって歩み出したはずの高校生活は奪われました。

佐々木ゆりこさん「(高校に)行きたかったですね。実習とかもしたかったし、もっと。いままであれだけ、この高校に行きたいと思って勉強してきたのに、終わるんやなみたいな…」

さらに患者を苦しめるのは、その症状やつらさが周りにわかってもらえないこと。中にはやる気の問題と指摘されるケースもあるといいます。

医師「きつい?何が一番悪い?」

佐々木ゆりこさん「めまい」

医師「ご飯食べている?」

佐々木ゆりこさん「なんかもう、においとかが全然しなくて、食欲もないです」

体重は3か月で5キロほど減っていました。このクリニックでは後遺症の専門外来を設けて以来、およそ240人の患者を治療してきました。

今井一彰院長「一番つらいのは『いつ治りますか?』という言葉ですね。ぼくらも、それを言ってあげたいですけど。『確率として、これくらいで良くなりますよ』というしか言えないわけですよ。怠けているんじゃないかとか、やる気の問題じゃないかって考える人がいっぱいいるんですよ。やはり理解されない症状ですから、本当にご本人たちはつらいんですけど…」

感染から7か月。高校を退学したゆりこさんは、体も動かせるようになり、母親の手伝いが出来るまで回復。

佐々木ゆりこさん「できることはしておかないといけないかなみたいな」

居酒屋でアルバイトも始めました。

佐々木ゆりこさん「だいぶ前よりよくなって、ましにはなったけど…完璧にはまだみたいな」

頭痛や疲れやすさは、まだ残ったままです。

佐々木ゆりこさん「後遺症ってけっこうきつい。でも、それを周りの人にはわかってもらえない」

誰もわかってくれない。後遺症との闘いは、いまだに続いています。

2022年4月10日放送NNNドキュメント’22「誰もわかってくれないーコロナ後遺症 長期化する闘いー」(福岡放送制作)を再編集しました。