ワクチン接種はいつ 体制整備のめどは?
新型コロナウイルスのワクチン接種について、厚生労働省が市区町村への説明会で示した接種体制構築のスケジュールのイメージは、次の通りです。いずれも、確定した日程ではなく、自治体が体制を整えるためのめどとして示されたものです。
ワクチンの承認時期やワクチン製造元からいつ、どの程度の量が日本に供給されるか次第でこのめどは変わる可能性があります。なお、ファイザーのワクチンは2回打つ必要があり、1回目と2回目の接種を3週間あけて行うことが推奨されています。
<2月末 医療従事者先行接種>
最初に行われる医療従事者向けの「先行接種」は、国が調整にあたり、国立病院機構など公的病院の医療従事者1万人から2万人程度を対象に2月末から行うことが想定されています。この人たちからは、接種後の健康状態や副反応について報告してもらい、国の研究班が集計し、随時公開します。厚労省は、副反応への不安や疑問に応えるためだとしています。
<3月中旬めど その他の医療従事者>
次に、それ以外の医療従事者ら370万人への「優先接種」は都道府県が調整し、3月中旬めどに開始することが想定されています。この場合、対象となるのは、医療従事者のうち、新型コロナウイルスの感染者に頻繁に接する機会がある人や清掃などの委託業者、さらにコロナ患者に接する救急隊員、保健所職員なども含まれます。
ファイザーのワクチンの場合、その地域ごとに対象となる医療従事者らへの1回目の接種はおおむね3週間以内で終えて、1回目から21日後には2回目の接種ができるよう目指すとしています。
<3月下旬か4月 高齢者の接種>
そして、65歳以上の高齢者(全国約3600万人)の優先接種については、各市区町村が調整します。3月5日頃までに無料クーポン券を印刷し、3月中旬以降に郵送、3月下旬または4月から接種できるよう体制確保を目指します。
その地域の高齢者の1回目の接種が終わるまでに9週間(2か月)程度かかると想定されていますが、途中(3週間後)からは、2回目に受ける人が出てくるため、一定の期間、1回目を受けている人と2回目の人への対応が同時に必要になります。
そして、その地域の高齢者の接種は3か月程度で終えることを想定して体制を整備することとしています。つまり、3月下旬開始の場合は、順調に進んでも6月下旬までかかり、4月に入って開始の場合は、7月までかかる計算です。
厚労省の資料では、高齢者全体が終わるのを待たずに5月下旬あたりに次の対象、たとえば「基礎疾患がある住民」の接種を行うことも可能としていますが、自治体の体制が整うかは不透明です。また、仮に人口10万人、高齢者が2万7000人の自治体があるとして、このスケジュールを想定すると、週あたり、6000回接種できる体制が必要になるという試算が示されています。なお高齢者は、入居している施設での接種も可能とされています。
また、高齢者の意思確認が難しい場合、家族や施設などの嘱託医の協力で接種することに同意が確認できれば、接種可能です。
<基礎疾患がある人>
その次に、基礎疾患がある人(推計で全国820万人)への接種が行われます。自治体は、どの住民に疾患があるかはわからないため、高齢者以外の住民の無料クーポン券は、疾患の有無にかかわらず、4月23日までに印刷され、4月以降に自治体から住民の自宅に郵送されます。
この段階で、優先して接種が受けられるのは、新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいとされる心臓や呼吸器、腎臓などの基礎疾患がある人と肥満の人などです。疾患名は厚労省が学会の意見を聞いて、すでに決めています。接種前に提出する「予診票」で疾患があることを自己申告し、診断書などは不要となる見込みですが、接種するかどうかは、あらかじめ主治医と十分相談して決めるよう、自治体が呼びかける見込みです。
また、この段階では、高齢者や障害者などの施設で利用者に接する職員も接種が受けられます。ワクチンの供給量が十分あり、接種体制が整えば、高齢者施設の職員が高齢者と同じ時期に接種することも可能にするということです。
<それ以外の住民はいつ?>
基礎疾患がない住民の接種の体制整備のめどは、今回(1月25日)の厚生労働省による市区町村むけ説明会資料には、盛り込まれていません。
地域ごとに基礎疾患のある人の接種がどの程度で終わるか確定せず、また、その頃に、ワクチンがどのくらいの量、供給されるかは、政府や自治体にもわからないため、「ワクチン供給量等を踏まえ順次接種」とのみ記されています。
<接種は居住地が原則>
接種は無料で、希望する人のみが受けます。ワクチンの安全性などを調べる治験の対象に子どもが含まれなかったことをうけて、対象年齢は16歳以上になる見込みです。原則として住民票がある市区町村で接種を受けますが、施設や病院に長期間いる人や災害後に避難している人などは、別の自治体でも接種可能です。学生や単身赴任者などは申請すれば、今住んでいる市区町村で接種できます。