自宅療養の不安解消へ 保健所と医師タッグ
コロナによる病床ひっ迫で「終わりの見えない戦い」が続く保健所にとって、自宅療養者の容体急変への対応が大きな課題です。東京・板橋区は9日、夜間休日に往診する「ファストドクター」との連携を開始。患者の不安と保健所の負担を減らす仕組みとは――。
■自宅療養 急変どう対応?
9日、今も大忙しの状況が続く板橋区の保健所を訪ねました。次々と電話が鳴っています。
職員
「明日の交換便で、パルス(オキシメーター)を送りますので」
別の職員
「おはようございます。健康観察でお電話させていただきました」
足りない人員を他部署などの応援で補い、45人態勢で“第3波”の対応に当たっています。
鈴木所長
「ずーっと残業が続いているので、いつまで頑張れば終わりになるのかが分からないのが一番つらいと思います」
終わりの見えない戦いで今、最大の課題は、自宅療養者の容体急変にどう対応するのかということです。
職員
「『急に熱が上がってきて、すごく不安』だとか、けっこう夜間の時間帯で残業していると、電話があったりしたので」
多い時は300人以上いたという板橋区の自宅療養者。容体が急変しても、患者はすぐに病院に行くことはできず、電話相談のみ。その後の保健所の入院調整には何時間もかかるケースが多発していました。
■専用ダイヤルで医師が自宅に
そこで板橋区が新たにタッグを組んだのは、夜間や休日に特化し、医師が直接患者の家に出向いて診察する「ファストドクター」です。9日からは、区内の自宅療養者が専用ダイヤルに電話をすれば、医師や看護師につながり、すぐに医師が自宅に駆けつけられるようになりました。診察や薬の処方など、すべて無料といいます。
さっそく職員が、自宅療養する患者1人1人に、専用ダイヤルを伝えます。
「本日、新たな案内がございまして。もしご体調に急変があった時に、必要であれば往診で医者が自宅に駆けつけて…」
――患者さんからの反応は?
職員「安心したようなご様子でした」
別の職員「『家まで来てくださるんですね』とうれしそうな反応だったかなと思います」
■「感染しても安心して療養を」
この連携で、患者の不安を解消し、保健所の負担も減らせます。
鈴木所長
「どこで感染するか分からない状況に、もうなっていますので、感染した時にも安心して療養いただけて、皆さんにはそういう方を温かく支えていただけるようになってくれるといいなと思っています」
(2月9日『news zero』より)