東北大学の教授らは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により看護師など看護職についているおよそ４割が「仕事を辞めたいと思った」など、離職の意向を示したとする研究を発表しました。

東北大学の朝倉京子教授らは、２０２０年１２月８日時点の感染者数のデータをもとに、人口１０万人あたりの感染者数が相対的に多い、北海道・東京都・大阪府・兵庫県と、感染者数が相対的に少ない秋田県・富山県・徳島県・長崎県から、無作為に病院を抽出しました。そして、抽出された病院に勤務する看護職１万人を対象に、先月、オンライン調査を実施したところ、女性２０９１人、男性１８２人の合わせて２２７３人から回答を得たということです。

その結果、「新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、看護職の仕事を辞めたいと思ったことがありましたか？」との質問に対し、「たびたびあった」と答えたのは３５５人で１５．６％、「ときどきあった」と答えたのは６２０人で２７．３％と、合わせて９７５人、４２．９％の看護職が、感染拡大の影響で看護職の仕事を辞めたいと思う経験をしていたことが明らかになりました。

また、「新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、看護職の仕事を続ける自信がなくなったことがありましたか？」との質問に対し、「たびたびあった」と答えたのは２８０人で１２．３％、「ときどきあった」と答えたのは６８１人で３０％と、合わせて９６１人、４２．３％が、仕事を続ける自信を失う経験をしていたということです。

精神的な健康状態を調べる調査では、感染者数が多い地域と少ない地域で統計的な有意差はなかったということで、感染者数の多い少ないに関係なく、仕事の負担感の増加や差別への恐怖、家族に感染させる心配など看護職の精神健康の悪化が懸念されたとしています。朝倉教授は「看護職の精神健康ケアの必要性が増している」としています。