森田氏後継は?新人だらけ千葉県知事選告示
■過去最多8人の立候補者
4日告示された千葉県知事選挙。立候補者は8人。これまでの県知事選で最多の立候補者数となったのです。現職で3期目の森田健作知事は今期限りで退任するため、12年ぶりに“新人だらけ”の選挙戦がスタートしました。
■台風被災地で“第一声”
「千葉県知事に期待されていることはコロナ対策でリーダーシップを発揮することとおととしの災害からの復興復旧、災害に強い千葉県づくり。これがまず千葉県知事に求められる仕事です」
2019年の台風で甚大な被害を受けた県南部の鋸南町で街頭演説の第一声を上げたのは無所属の新人で前千葉市長の熊谷俊人(くまがい・としひと)氏。
熊谷氏は立憲民主党、国民民主党、日本維新の会、社民党の県組織が支援をするほか、自民党や公明党の一部の国会議員からも支援を受けています。
高校生の時に住んでいた神戸市で阪神・淡路大震災を経験した熊谷氏は2009年、当時31歳で千葉市としては史上最年少の市長となり、財政再建などに取り組んできました。新型コロナ対策では、「オール千葉県で新型コロナ対策にリーダーシップを発揮し、ワクチンが必要な人に速やかな接種を行えるよう万全の体制を整える」としています。また、2019年の台風災害から一日も早い復興・復旧を目指す“防災県千葉”の確立や東京に依存しない“千葉経済圏”を創出することを政策としてあげています。
■「男女平等社会の実現へ」
「私たちの住むこの千葉県を戦争の拠点にすることは絶対に認めません。武器見本市、とんでもない。オスプレイだってとんでもない。世界のどこにもオスプレイはいらない。武器見本市もいらない。その声を、千葉県知事として声を上げるには、この選挙に勝たなければならない!」
千葉駅前で行った第一声で有権者に反戦のメッセージを強く訴えたのは無所属の新人で共産党職員の金光理恵(かなみつ・りえ)氏。共産党が推薦しています。
金光氏は大学受験予備校の元講師で、選択的夫婦別姓など「男女平等社会」の実現を目指してきたといいます。また幕張メッセで開催される武器見本市の開催や陸上自衛隊のオスプレイ配備に反対する運動などに関わってきました。
新型コロナ対策では希望者全員に無償でPCR検査を受けられるようにする一方、保健所間の調整に県が主導的な役割を果たすように制度を構築していきたいということです。教育支援として給食費だけでなく教材費も無償にすること子育て支援として高校卒業まで医療費を無料にするなどの政策を実現させたいとしています。
■“政策通”現知事も応援
「まずはしっかりとコロナに打ち勝つことでございます!そしてその先なんです!20年後、30年後を視野に入れた夢あふれるチャレンジを皆さんと一緒に作らせてください!」
千葉駅前で街頭演説の第一声を上げ、その後、県庁前に移動したのは無所属の新人で前千葉県議会議員の関政幸(せき・まさゆき)氏。現職の森田健作知事も応援に駆けつけ“ガッツある男”とエールを送りました。関氏は自民党の推薦を受けています。
「なせば成る、なさねばならぬ何事も、成らぬは人のなさぬなりけり」上杉鷹山の名言を座右の銘とする関氏は弁護士で、2011年、千葉県議に初当選し、県議会で多くの条例制定に尽力してきた“政策通”です。
新型コロナ対策として、ワクチンが全県民にいち早く行き渡るように国や市町村と連携をはかるだけでなく医療従事者らへの慰労金の追加支給や事業者への協力金の支給拡大など、経済面の政策も進めていきたいとしています。
ほかにも、「学校給食費ゼロ」や“千産千消”など食育への取り組み、元気なお年寄りの趣味や地域活動に支援金を支給する「人生100年“夢”応援」などの政策に力を注いでいきたいとしています。
ただ国政与党の公明党は緊急事態宣言中に千葉13区選出の白須賀貴樹衆議院議員が夜の飲食店に出入りし自民党を離党した問題を受け、関氏の推薦を見送り、自主投票としています。
このほか今回の千葉県知事選にはいずれも新人の諸派で自営業の後藤輝樹(ごとう・てるき)氏(38)、無所属で医師の加藤健一郎(かとう・けんいちろう)氏(71)、無所属で元県立高校校長の皆川真一郎(みながわ・しんいちろう)氏(66)、諸派で政治団体代表の平塚正幸(ひらつか・まさゆき)氏(39)、諸派で人材紹介会社社長の河合悠祐(かわい・ゆうすけ)氏(40)が立候補しています。
■アクアラインは800円になったけど…
「わが千葉県日本一!!」知事として最後の県議会で声を張り上げた森田知事は東京湾アクアラインの通行料800円への値下げを実現するなど“都心から千葉へ”人とモノの流れを活性化させたと胸を張りました。
一方、2019年、千葉県内に甚大な被害をもたらした令和元年房総半島台風が上陸した当日に私的な視察を行うなど危機管理への対応の不手際や、新型コロナが全国的に拡大する中での発信力の弱さなどが指摘されました。
今回の県知事選では新型コロナ対策や被災地の復興、そして森田県政で台風への対応が批判を浴びた危機管理のあり方などが争点となる見通しです。
“新人だらけ”の千葉県知事選は、今月21日に投票が行われ、即日開票されます。