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“変異株”3倍に 検査拡充も実態つかめず

2021年3月11日 10:18
“変異株”3倍に 検査拡充も実態つかめず

変異ウイルス感染者数が、1か月で3倍に急増しています。背景には検査体制の拡充もありますが、各自治体では感染者の9割以上で変異株かどうか調べられておらず、実態はつかめていません。一方で、緊急事態宣言の再々延長論も浮上。その可能性は――。


■変異株調査 全体の5~10%どまり

有働由美子キャスター
「変異ウイルスクラスターも次々に確認されています。厚労省とNNNのまとめによると、国内で検出された変異ウイルスは、1か月前の2月10日時点で11都県で108人でしたが、3月10日までに、24都道府県で390人(いずれも検疫含む)になりました。それだけ感染力が強いということなのでしょうか」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「その可能性もありますし、検査体制が拡充してきたということもあります。感染者のウイルスが変異したものかどうか、国立感染症研究所(感染研)で確認する前に、3月から、全国の自治体の検査所で、変異が疑わしいかどうかを検査するようになりました。

これまではすべて感染研に送っていましたが、ふるいにかけてから送ることで効率が上がり、より早く変異ウイルスが分かるようになりました。ただ、変異ウイルスかどうかを調べているのは、その自治体で確認された感染者全体の5~10%。つまり9割以上は、変異ウイルスかどうかを調べていません」

感染症学が専門の国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授は「調べる検体を最低でも50%まで上げないと、変異ウイルスがどこまで広がっているのか実態はつかめない。体制をもっと強化しないと、気づいた時には変異ウイルスがまん延している事態になる」と話しています。


■1都3県 再延長も大きな改善なく

有働
「変異ウイルスも気になりますが、政府の分科会の尾身会長からは緊急事態宣言の再々延長についての発言もありました。可能性はありますか」

小栗
「1都3県の感染者数の7日間平均は、1週間前の先週水曜日(3月3日)と比べて神奈川は37%ほど増加。9日時点の病床使用率はどこも20%以上の『ステージ3』で、埼玉と千葉は『ステージ4』に近い40%台です。先週、延長を決断した時から大きく改善されている状況ではありません。

そうした中でも、基本的に政府は、経済へのダメージを考えて、もう延長はしたくないという考え方です。一方で、自民党のある中堅議員は『10日の東京340人という数字をみると、解除する理由がない。また延長もあり得る。前回解除しなかった時点で、ゴールが見えなくなった。消耗戦に突入している』と話しています」


■どうなる再々延長 辻さんに聞く

有働
「宣言の再々延長というのは、どうでしょうか」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「緊急事態宣言がずるずると日常化してしまうと、それはもはや“緊急”ではなくなって、個人の危機意識はどんどん薄れていくのではないかと思います。せっかく飲食店が時短営業を強いられる中、頑張っているのに、危機感がしっかり伝わるメッセージになっていなければ、結果的にコロナで苦しむ人と時間を増やしてしまうのではと思います」

有働
「確かに、新しい何かを考えないと、ただ『また延ばします』ではこの状況は変わらないですよね。もちろん私たちは感染対策を頑張りますが、次の手をどうするのか、国や自治体の皆さん、よろしくお願いします」

(3月10日『news zero』より)