宣言解除も「時短」は延長……夜の銀座は
1都3県の緊急事態宣言は解除されましたが、東京都は時短要請を延長する方針です。長引く「時短」は夜の銀座に影を落とし、開幕目前のプロ野球にも変化を迫っています。一方、ワクチン接種については人口の少ない自治体での一斉接種の可能性が示されました。
■時短9時で変化「銀座ホステス」も
23日、銀座の街で、ホステスをしている瀬戸内涼子さんに出会いました。向かった先は、美容室です。「久しぶりです」「元気ですか」と声をかけ合います。イスに座った瀬戸内さんは「飲食店も閉まっているから、アフターとか行けないじゃないですか」と言います。
銀座界わいでは、時短営業でクラブの収入が減り、美容室で髪をセットできないホステスも多いといいます。
瀬戸内さんも店で髪をセットしてもらうのは正月以来です。「わくわくした状態でお仕事できるかなと思うので、“魔法”ですよね。ヘアセットもしてもらったので、すごくモチベーションも上がりましたし、楽しんで出勤してきます」
瀬戸内さんが勤めるクラブにはそのころ、氷や備品などを納品する業者が次々と訪れていました。
――宣言中は大変でしたか?
納品に来た酒店「いや大変でしたね。いやもう、仕事がないですよね」
緊急事態宣言中は開店休業状態でしたが、宣言が解除されると、夜9時まで営業するクラブが増え、注文が入ってくるようになったといいます。
■時短営業 都は4月も継続方針
夜の銀座の街にも大きな影響を与える時短営業。東京都は午後9時までの時短要請の期限を3月末としていましたが、リバウンドを抑えるため、4月も継続する方針を固めました。延長期間は約3週間を軸に検討していて、1日当たり4万円の協力金も継続する予定です。
銀座のクラブママ
「まあ、あの…(宣言中は)地獄のような大変厳しい、つらい2か月半でしたね。(協力金の)4万円をいただいても、本当にどうにもならないですよね。先行き不透明で、どこまでお客様が戻っていらっしゃるか、不安ですね」
23日に東京で新たに確認された感染者は337人。3月2日は232人、9日は290人、16日は300人と推移し、火曜日としては3週連続で増加しました。
■卒業式後の過ごし方に変化
2年ぶりに学生が参加して行われた慶応義塾大学の卒業式。「塾歌」を歌うのが恒例でしたが、「新型コロナウイルス感染症対策として、斉唱は行いません」とアナウンスがありました。声は出さず、じっと流れる歌声に耳を傾けました。
式の後の過ごし方は――
「この後は軽くご飯を食べたいなと思っています」
「早めに行って早めに解散しようかなと思っています」
「元々、友達と飲み会とかしようかなと思っていましたが『お酒のないランチ会』に切り替えて(やることにしました)」
大人数でのパーティーは行わず、少人数のランチで大学生活を締めくくるという声が聞かれました。
「なるべく他の人と接触しない形が、ホテルかなと思ったので」と話す卒業生は、ホテルの部屋を取り、少し贅沢に大学生最後の日を過ごしました。
■気を緩めず対策継続で…東京“半減”も
東京大学大学院経済学研究科の仲田准教授と藤井特任講師による、都内の1日の感染者数のシミュレーションでは、8週間で去年秋くらいまで経済活動を戻し、花見やゴールデンウイーク、歓送迎会の時期に気の緩みが出て人の動きが活発になると、7月には約1300人まで拡大すると試算されています。
しかし個人が気を緩めず、通常の感染対策を続けさえすれば、半分ほどの約700人まで抑えられるといいます。
■時短9時で「野球場」周囲も変化
一方、開幕が26日に迫ったプロ野球。1都3県では、4月17日までのナイトゲームの開始時間を繰り上げて行うことを決めました。イベントは午後9時までとする要請に従うためといいます。
神宮球場からほど近い、ヤクルトファンが集う飲食店を訪ねると、開幕に向けて準備が進んでいました。
店長「開幕に向けてビール樽を事前にたくさん準備しています」
この店の営業は午後9時まで。試合もそれまでに終わるようになれば、試合中に店を閉めなくてすむようになります。
店長「(試合)開始時刻を早めるとか、9回で終わるとか、いろんな施策をプロ野球の方でしてもらいながら、安全安心で開幕してもらいたいと思っています」
県独自の緊急事態宣言が出されている宮城県では、23日、過去2番目に多い121人の感染を確認しました。そのうち91人を仙台市が占めました。
23日の全国の感染者数は1491人で、先週火曜日と比べて300人以上増えています。
■ワクチン 一斉接種の自治体も?
ワクチンの一般接種について、河野ワクチン担当相から新たな発言がありました。「人口が1000人をめどというふうに申し上げておりますけども、高齢者に限定することなく、打ってくださいということを申し上げております」
人口が少ない自治体は4月中にも高齢者とともに一般への接種も始められるとの認識を示しました。
人口約920人で、去年末に感染者が出た沖縄県・座間味村の宮里哲村長は、一般接種や観光への影響についてこう話しました。
「非常に歓迎したいし、ありがたいなと思います。離島の場合は1人でも患者が出ると非常にリスクが高くなる。患者が発生してクラスターが起こった場合には、非常に脆弱な医療体制の中で対応が困難になります。
観光客は増えてきている状況です。一斉接種することで、多くの観光客が来ていただいても、村民の皆さんが安心してお客様を迎え入れることで、より経済の活性化につながるのではないかと思います」
(3月23日『news zero』より)