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2021年4月14日 22:02

ファミリーシップ…新たな家族のカタチとは

ファミリーシップ…新たな家族のカタチとは
(c)NNN

現在、日本では法的に認められていない“同性同士での結婚”ですが、先月、札幌地裁は「認めないのは憲法に違反する」との全国初の司法判断を下しました。こうしたなか東京・足立区は今月、パートナーシップ制度とあわせて東京で初となるファミリーシップ制度を導入しました。

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今月1日、“特別な一日”を迎えたのは、女性同士のカップルである長村さと子さん(37)と茂田まみこさん(40)。4月から東京・足立区で導入されたパートナーシップ制度。二人はその第一号となったのです。

現在、同性婚は法的に認められていない日本。パートナーシップ制度に法的効力はないものの、人生のパートナーとして届け出たことを証明するカードが送られます。(足立区の場合)

足立区といえば、去年9月、区議が「子供が生まれないレズビアンとゲイが広まれば足立区は滅んでしまう」との趣旨で発言。撤回・謝罪しましたが批判が相次ぎました。

長村さと子さん「腹が立つというより悲しいの方が強かったですね。ここまで言っちゃうんだ、って」

共に暮らし、ずっと子供を持つことを望んできた二人は区議の発言に深く傷つきました。

取材を始めた当時、新宿区で暮らしていた二人。

6年前、二人は結婚式を挙げています。“子供を持ちたい”という決意を周囲に伝えるためでした。

長村さと子さん「結婚式は親に伝えたいっていうので、他に何か示せるものがなくて結婚式をしたんですね」

まだパートナーシップ制度が広まる前のことでした。そして今年、二人は人生を共にするパートナーとして届け出ることに。そのためパートナーシップ制度導入を決めた足立区へ、新宿区から引っ越すことを決意します。

区は区議の発言翌月から、LGBT当事者との意見交換会を始めていました。“スピード改革”のワケはこのとき感じた強い危機感だといいます。

足立区・近藤やよい区長「当事者の方にお話を伺ったときに『足立区で生活するっていうのが非常に怖い』、怖いって言われましたよね。その怖いっていう発言が本当に一番グサッときました。性的少数者がこの地域で暮らしていくということに関するハードルを取り去っていくか(の意識が)今まで欠けていたということに気づかされるわけですよ」

さと子さんとまみこさんも意見交換会に出席。一般社団法人「こどまっぷ」で子供を望むLGBTQの支援活動をする二人は、区にファミリーシップ制度を要望しました。それは子供に関わるものでした。

同性カップルの場合でも元のパートナーとの子供など、様々な形で子供を持つ場合があります。しかし、パートナーシップ制度で証明できるのはカップルの関係のみ。親権を持たないパートナーと子供との親子関係は証明することができません。

ファミリーシップ制度では子供を含む全員が“家族”であることを認められるのです。しかし、導入している自治体はまだ、ごくわずか――

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制度がまだない区に住むカップル、まなみさんとさきさん。二人の間には人工授精で生まれた1歳になる子供がいます。二人にとって待望の我が子。しかし…

まなみさん「私は産んだ親なので戸籍上にも載ってますし、ただ一人親になっていて、彼女は…」

さきさん「私は他人ですね。もし(まなみさんが)先に亡くなったりとかそういうことになると、もう私と息子は他人として離れ離れになってしまうのかな」

制度がないと“二人のママ”として育児をしていても家族だと証明するものがないのです。そしてコロナ禍で“家族のみ”に制限される事態も起きていました。

まなみさん「児童館とか支援センターとか区の施設に遊びに行ったりするが、(さきさんとの関係を)妹ですとか、いとこですとか、親戚ですと言って、うそをつかないといけないのが心苦しいというか」

子供への影響を恐れ家族であることを隠してしまい、ますます“見えない存在”になってしまうといいます。ファミリーシップ制度の広がりが多様な家族の形の認知につながれば、と話します。

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足立区は今月、都内で初めてファミリーシップ制度を導入。区議の問題発言からおよそ半年のことでした。この春、足立区での新しい生活を始めた二人。

茂田まみこさん「声を上げたことが間違いじゃなかったし本当によかったなと思います」

長村さと子さん「自治体が動いてくれてるのはすごく励みになるというか、応援されているような気持ちにすごく感じます」

将来、子供を持つことができたらファミリーシップ制度の利用も検討したいといいます。しかし、法的効力はなく病院や学校などでの理解は個人の意識にゆだねられるなど社会生活を送る上で課題も残ります。

“誰一人取り残さない社会”に向け取り組みは続きます。