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「ワクチン接種記録システム」その課題は

2021年5月12日 1:59
「ワクチン接種記録システム」その課題は

国が導入した『ワクチン接種記録システム』。ワクチン接種券の番号を読み取り、その情報をデータベースで一元管理できる仕組みです。ただ、これがリアルタイムの数字を反映できていないようです。技術的な問題だけでない課題とは。

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有働由美子キャスター「10日までの高齢者接種、総理官邸のホームページの発表によると、41万5814回。進捗状況はおよそ0.6%です。ところがこれ、リアルタイムの数字を反映できていないようなんです」「国がどうやってこの情報を集めているかといいますと。会場にそれぞれが持っていくワクチン接種券には、バーコードの下に18桁の番号が記載されています。担当者が番号をタブレットで読み取り、その情報がデータベースに蓄積されて、どこで何人が接種したかを一元管理できる仕組みです。これが、国が導入した『ワクチン接種記録システム(VRS)』といいます。で、このシステムに課題もあるということなんですね」

小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク「タブレットは政府が『やろう』ということで、全国に4万台を送付したそうです。ほとんどの市区町村で導入されています」「政府がメリットだと考えているのは、接種状況を市区町村が把握して、個人からの問い合わせにも答えられる。メリットの2番目は、引っ越しても市区町村間で連携をすることがうまくできるだろうということなんです」「一方で、肝心の現場からはこんな声もあがってきているんですね。タブレットの性能がよくなくて、ピントが合わないとか、数字を誤って読み込むとか、それからフリーズをして次に進まない、という声が」

有働キャスター「現場では、今1日100万回ってハッパかけられているので、『もうはやく』という風にイライラするでしょうね」

小野デスク「これは技術的な問題ですから、なんとかしてほしいですが。ただ、こういう声もあるんです。各病院は忙しく、読み取りの暇がない、あとで役所でまとめて作業する。そもそも独自に集計していて使っていない、でも政府が集計に必要とのことで、あとでまとめて入力すると。独自集計と政府が導入したシステムは連動していないので結局、後回しにしてしまって、政府に情報を送るのが1週間後になってしまう、という自治体もあるわけです」

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落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)「何のリスクを最小化するかの選択の問題のような気がしてですね。というのも、例えばシステム開発的な発想で考えると専用デバイスも専用アプリもいらないから、すでにあるもので作るというのも選択肢としてはあり得るじゃないですか。でもその点で、セキュリティーとか、情報漏えいのリスクがあったりとか、使い勝手のリスクとか、あるかもしれないですけど」「ワクチンのスムーズな接種の方が今は重要だから、スピードの方が重要と考えるという選択肢もある。しかしながら、例えばスピードも情報漏えいも両方やろうとすると、こうなってどこが足りないのかとか結構ぐちゃぐちゃしてきちゃう、ということもありますと…。こんな風に、メディアが文句だけ言うのもよくないですけれど、なんとかしないとねとは思います」

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有働キャスター「とはいえ課題は課題としてあるわけで、日本は世界に比べて接種が始まるまでに時間があったはずなので、システムの準備、構築はむしろ進んでいてほしかったんですが…」

(5月11日『news zero』より)