大規模な山火事…寄付金で“かつての姿”に コロナ禍で存続危機の遊園地も「クラウドファンディング」
地元で愛された遊園地などコロナ禍で窮地に立たされた施設に、多くの支援が寄せられています。去年、大規模な山火事が起きた栃木・足利市でも、寄付金により「かつての姿」を取り戻そうとしています。
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5日、栃木・足利市を訪ねました。緑の自然のなかを進み、険しい道のりが続く登山道を行くと、真っ黒な炭のようになった木が見られ、山頂からも焼け跡が確認できました。
去年2月、市の中心部に近い両崖山で山林火災が発生。周辺の山林に広がり、鎮火までには23日間を要しました。市は、火災の原因を「たばこと推定される」と発表しました。
あれから約1年6か月、山はかつての姿が戻りつつありました。
足利市観光まちづくり課 小暮勇気さん
「寄付をいただいたもので直した標識です。元々は、ちょうどこの標識があって、ちょうど火事で焼けて倒れてしまってましたね」
市は、山林火災の復興支援のため寄付を募集し、約6700万円の寄付が集まったといいます。寄付金は、焼け落ちた看板などのハイキングコースの整備のほか、ホースや無線機などの火災対策にも使われているといいます。
足利市観光まちづくり課 小暮勇気さん
「皆さんがほんとに山を思ってくれた気持ちの大きさが、こんだけの寄付が集まったのかな」
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存続のため寄付を募ったところもあります。
奈良県にある世界遺産・法隆寺は、新型コロナウイルスの影響で参拝者が大幅に減少。拝観料の収入が減り、運営が厳しくなったということです。そのため法隆寺は、インターネット上で寄付を募るクラウドファンディングを行うことにしました。
目標の2000万円を上回る約1億5000万円が集まり、現在は寄付金の使い方について計画を立てているということです。
新潟・阿賀野市の山あいにある遊園地「サントピアワールド」も、寄付金で危機を乗り越えました。
サントピアワールド 高橋修園長
「(2020年の)緊急事態宣言の時は完全に休園ということで、(宣言が)終わったあとも1週間くらいは休園という形をとっていた」
2020年、新型コロナの影響で休業を余儀なくされ、運転資金が足りない状況になったといいます。
“約45年続いた遊園地を残したい”その思いで、クラウドファンディングで寄付を求めると、個人で持ち込んでくれた金額も含め、約5500万円の寄付金が集まったということです。
サントピアワールド 高橋修園長
「私どもは『遊園地でありながら、思い出屋なんだ』と口にしていたけど、本当にそうなんだと、再度、ものすごく重く感じました」
ただ、あれから2年がたち、今は電気代の高騰という別の問題もあります。
サントピアワールド 高橋修園長
「年間でいうと、1800万円くらいの値上げになります」
倍の費用がかかるものの、もらった支援を支えに踏ん張っていくということです。