バイト雇用「守ってあげたい」夜営業へ
新型コロナウイルスの影響が長引き、雇用の現場にも大きな影を落としています。緊急事態宣言の延長に伴い、「雇用を守る」と営業方針を変える飲食店も。先が見通せない中、単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」にも注目が集まっています。各地の現場を取材しました。
■繁華街の人出増加「3週連続」
3日夜8時半過ぎ、東京・六本木を歩きました。多くの人が出歩いているのが分かります。マスクをあごにかけている人や、マスクをしていない人が会話しています。
都内の繁華街では、人出が3週間連続で増加しています。厚生労働省の専門家会議は、「特に夜8時以降の人出が増えている」と指摘しています。
3日の都内の感染者数は508人。1週間前の5月27日は684人で、21日連続で前の週の同じ曜日を下回りました。
東京都の小池知事は3日、自宅でテレワークに臨み、リモートで感染状況の報告などを受けました。
■酒提供で夜10時まで…営業ナゼ
緊急事態宣言が長引く中、営業方針を変える店もあります。
都内の焼き肉店を訪ねました。夜8時を過ぎてもテーブル席はほとんど埋まった状態です。6月からは都の要請には従わず、酒を提供し、夜10時まで営業しています。要請に従えない理由は、売り上げだけではないといいます。
焼き肉店オーナー
「どうしても、うちが解雇しなくてはいけない状態は、絶対に回避しようと。僕ら経営者の1つの責任だとは思っていますので」
30年勤める従業員
「ちょっと…正解が分からないんで。うーん…、難しいところですよね」
――お酒を提供せずに夜8時に閉店しているお店も多くあります。
オーナー
「まだ耐えしのぐべきだ、という意見ももちろん大事だと思います。とはいえ経済を回さないことには。特に僕らはテレワークができる業種ではないですし」
一方、東京・新橋の飲食店でも、6月1日から方針を変えました。「ランチ営業のみ」から、「夜8時までの営業」にしました。
店長
「(4月に)アルバイトさん2名を採用しまして。雇用を守るというところで。人件費だけでも出ればなと」
アルバイト
「すごいうれしいですね。お給料の方も、しっかりいただけるのではないかと思って。ちょっと安心していますね」
店長
「本当、まじめで助かっています。みんないい子なんで。本当に守ってあげたいなと思います」
■急な単発仕事に…「ギグワーカー」
東京・台東区のカプセルホテルを訪ねました。支配人に案内してもらい、スタッフの女性を紹介してもらいましたが「見かけることはあるんですが、お話しするのは初めて」と言います。女性は、アプリなどで見つけた単発の仕事を請け負う、「ギグワーカー」です。
女性(30)
「就職活動と並行してできるアルバイトはないかと探していた時にギグワークという働き方を知りまして、それで始めました。面接も特になくて、いろんなアルバイトを経験できます」
雇う側にもメリットがあります。支配人は「本当に来週、再来週の営業がどうなっているか分からない(中で)前日の夜にでも『明日働けます』という方に来ていただけるので。人件費・固定費を抑えられるという部分ではかなり重宝しています」
女性が利用しているアプリを運営する会社「シェアフル」によると、「ギグワーカー」の登録者数は去年4月~今年4月で2倍以上に増えました。
■スーパー銭湯 「遅番」の従業員は
5月まで休業していた東京・板橋区のスーパー銭湯では、休業要請が緩和されたことで6月から平日・時短で営業を再開することができましたが、客は休業前の7割ほどになっています。
店長
「どうしても夜の時間にいらっしゃる方が来られないので、そういう意味では売り上げ的には、すとんと落ちているような状況ではあります」
時短営業の影響は、遅番の従業員にも及んでいます。
店長
「遅い時間に仕事できないので、前にずらしていただくとか、休んでいただく(形になります)。本来働けていた人が働けない状況に陥っています」
■密避けて…人気「マリトッツォ」
一方、福岡市のベーカリー「アマムダコタン」でコロナを契機に注目を集めているお菓子があります。ブリオッシュに生クリームをたっぷり挟んだ人気の「マリトッツォ」です。
アマムダコタン代表
「コロナが始まってから、すぐやりましたね。午後にも人気商品をめがけて来るような商品ができれば、さらに午後にもお客さんが分散されるんじゃないかって(考えました)」
朝に客が殺到して密になるのを解消するため、午後の目玉商品として作ったといいます。
代表
「久しぶりに、パンでデザート界にヒットが生まれたと言われていますね」
(6月3日『news zero』より)