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飲食業界18団体が会見“限界”との訴えは

2021年6月10日 21:07
飲食業界18団体が会見“限界”との訴えは

宣言の期限まであと10日。飲食業界18団体が緊急会見し、“限界”と訴え、規制の緩和などを求めました。一方、接種会場へ医療従事者派遣や、接種会場としての貸し会議室の無償提供など、接種を進める企業をサポートする取り組みも、次々と生まれています。

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東京では、10日、新たに439人の感染が確認されました。28日連続で、前の週の同じ曜日の人数を下回り、減少傾向が続いています。

こうした中、有名シェフなど飲食業界18団体が緊急会見しました。

HALYAMASHITAを経営する山下春幸さん「どうしてこんな中で私たちが我慢しないといけないのか。今年年内、あと数回続いてしまうと、またまた(飲食店は)つぶれます」

“限界”だという飲食業界の訴えとは。

東京は、新規感染者の減少傾向が続いています。ただ、感染状況を分析する専門家は─。

東京都医学総合研究所・西田淳志センター長「近く新規感染者数が下げ止まり、再び感染拡大へと転じていく可能性が、高くなってきていると思われます」

こう危機感を示しました。宣言の期限まで、あと10日です。こうした中、厳しい状況が続くのが飲食業界です。

東京・赤坂の高級中国料理店、日本の中国料理界の牽引役として知られる脇屋シェフ。旬の食材を生かした“モダンチャイニーズ”として人気ですが、新型コロナの影響で、売り上げは2年前と比べて9割も落ち込むなど、厳しい状況が続いているといいます。さらに深刻だと言うのが─。

Wakiya・脇屋友詞さん「従業員、社員は休んでもらってる というのが現状です」

緊急事態宣言により、経営する2店舗のうち1店舗は休業しています。さらに、店を維持するため、本来の3分の1の従業員でまわしているといいます。

Wakiya・脇屋友詞さん「(農家などの生産者は)本当つらいところがあるんじゃないかと思いますね。特にこの旬のものを扱っている人というのは(コストが)特に大変ですよね」

その脇屋シェフをはじめ、有名飲食店の関係者など18団体が開いた会見。

京都の老舗料亭菊乃井・村田吉弘さん「みんな、それぞれ社会的なこともありますから、それ(要請)をきちっと守ってます。守ってますけど、限界に近い状況が来ております」

緊急事態宣言などの影響で、飲食店の倒産が相次いでいるとして、業界全体が限界だと訴えました。さらに─。

獺祭を製造する旭酒造・桜井一宏さん「飲食が悪、アルコールを楽しむことが悪、そういった考え、そういった思いが、あるように感じてしまいます」

国に求めたのは、酒類の提供自粛や時短要請などの規制の緩和です。飲食店の形態は様々で、感染リスクも異なるとして、一律で行う飲食店への規制を見直すよう訴えた上で、感染対策の基準を明確化するよう求めました。

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こうした中、感染拡大を防ぐ切り札とされるワクチンを巡り、政府は、10日午後5時半ごろ。

中山防衛副大臣「(国の大規模接種の)東京センター・大阪センター地域制限を撤廃。接種券をお持ちの65歳以上であれば、全国どの地域に居住されている方でも、予約を受け付けさせていただくことと致しました」

東京・杉並区は、59歳以下の接種について、来月から12歳から39歳は優先的に行うと発表しました。感染者が多い20代、30代を優先し、10代は夏休み期間中に接種することで、学業に支障がでないよう配慮したとしています。

さらに、いま期待されるのがモデルナ社製のワクチンを使い、職場や大学などで行われる「職域接種」です。8日から始まった申請の受け付け。

ワクチンは温度管理が重要です。車で運ぶ際や停電の時でも冷やせるよう、シガーソケットに差し込んで使うことができるという、ワクチンを入れる冷凍庫。この冷凍庫は国が手配しますが、接種を進める企業などにとっては、いくつもの“壁”があります。

医師・看護師など、接種会場の人員の確保に、接種する会場の確保が必要で、最低でも1000人程度に接種を行うことが求められるのです。

とまどう企業をサポートするサービスもあります。医師や看護師免許を持つ社員が在籍し、病院のコンサルティングなどを行うこちらの企業、キャピタルメディカ。今週から職場での接種のサポート受け付けを開始しました。

キャピタルメディカ取締役・西村祥一医師「(職域接種は)非常に、やるにあたって割と壁が多い。特にボトルネック(停滞の要因)が、医療従事者の確保と言われていますので」

今週から職場での接種のサポート受け付けを開始しました。必要に応じて、接種会場に医療従事者を派遣することも行うということです。
会場を支援するサービスも登場しました。接種会場のようなレイアウトをイメージしたという場所、元々は会議室です。貸し会議室などの事業を行う企業、TKPは、接種の会場として全国に134ある会議室を最大10日間、無償で提供するといいます。その理由とは─、

TKP・河野貴輝代表取締役社長「コロナになりまして、人が集まるというのがなくなってきて、我々の会議室も利用が減っていって」

ワクチン接種が進み、経済が回復すれば、本業のミーティングなどで使う会議室の貸し出しも、需要が増えると見込んでいます。

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本格化する接種の動き、働く人を支援する企業内の動きもあります。

モスフードサービス 人材開発部部長代行・村山淳さん「(社員などは)ワクチンを接種するのに、1回につき1日の特別休暇を付与」

接種する日を有給休暇にするほか、パートやアルバイトには、接種する日は就業とみなし、1日につき3000円を支給するといいます。

感染拡大防止にむけた取り組みが、次々と生まれています。