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日給17万円?ワクチン接種“医師争奪戦”

2021年6月18日 20:14
日給17万円?ワクチン接種“医師争奪戦”

ワクチン接種の動きが本格化していますが、そのカギを握るのが、医師の確保です。日給17万円と、高額な報酬を設定する自治体がある一方で、東京では、医師が求人に応募しても採用されない事態も起きています。

東京都庁の展望台で、今日から始まったワクチン接種。

医師
「この4週間で熱があったり、体調が悪いことはありますか?」

医師が健康状態を確認し、接種が可能か判断します。実は今、こうした役割を担う医師の確保が課題となっています。

北海道・釧路市が16日まで、厚労省の求人情報サイトに掲載していたのは――

一部期間の日給は17万5000円、勤務は午前9時から午後5時まで。交通費は全額支給、ホテルと食事も用意されているといいます。(※現在は募集を終了しています)

異例の高額報酬の理由を尋ねると、釧路市の担当者は、「7月末までに、高齢者の接種を終わらせないといけない。なんとしても医師を確保したい。医師の争奪戦になっている」と話しました。

県内に計5か所の集団接種会場を設置する予定の茨城県でも…。

茨城県担当者
「医療人材会社と契約しまして、医師を確保している。時給2万円で設定しています。県外からの募集というのを想定。立地条件等踏まえると、少し高めに設定せざるを得ない。奪い合いというと変ですけど、確保は厳しくなっていると」

   ◇

過熱する“医師の争奪戦”。一方、東京で求人に応募した医師からは、意外な声が聞かれました。

小児科医
「手が空いて応募したんだけれども、落ちてしまったということが、多々あるというような状況ですね。10件応募したとして、5件落ちて、5件で採用というようなイメージ」

空いた時間を活用し、接種に貢献したいという小児科医の男性。しかし、なかなか採用されないといいます。

小児科医
「勤務が終わったあと、勤務がない日にお手伝いに行くという形なので、日中勤務しているのであれば、日中の案件には応募できないですし、土日の案件も確かにありますが、そちらはかなり倍率が高い。マッチングをうまくできれば、接種がもう少しスムーズに進むのでは」

なぜ、自治体や企業とのマッチングがうまくいかないのでしょうか。

医師向けの求人情報サイトを運営する会社は次のように話しています。

エムステージ・安藤真由美マネージャー
「一つの求人に対して、2.37倍のドクターの応募がきています。東京は地方より、医師数が多い。応募が殺到して、希望する医師が落ちてしまうケースが多くなっています。土曜や日曜の求人は人気が高いですね」

実際に、都内のクリニックへの応募状況を見てみると、日曜日・日給10万5000円の求人では、3人の枠に対し、14人が応募していました。

現在、自治体や企業による求人の多くが、平日の朝から夕方までのもの。一方で、医師が働きやすい土日の求人に応募が殺到しているのです。ミスマッチングを解消するには、募集する時間の選択肢を増やすことが大切だといいます。

エムステージ・安藤マネージャー
「半日の求人ですとか、勤務が終了した夜の時間帯の接種でやりたい先生は、もっと増える」

ワクチン接種の加速化のために、土日や夜間の活用が求められています。