子供ワクチンどうする?“大人の接種”重要
日本でも加速化するワクチン接種。職場や大学での接種も始まり、若い人たちにも対象は広がりつつあります。そんな中、気になるのが、子供のワクチン接種についてです。子供を守るためには、大人が注意しなければならないことがあるというデータもあります。子供のワクチン接種について解説します。
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■東京感染者“増加の兆し”警戒必要
東京都の感染状況は、21日の感染者が236人で、15日から27人増加しました。7日間平均した数字で前週と今週を比べると103%です。100%を超えると前週より多いということで、微増ではありますが、東京都の担当者は「増加に転じるかもしれない。警戒しないといけない状況だ」と話しています。
さらに、感染経路別だと医療機関での感染は0人。一方で、会食での感染が6人。職場内が14人。最も多かったのは家庭内で40人でした。
■萩生田文科相 学校での集団接種「推奨しない」
こうした中、子供へのワクチン接種について、どうしたらいいのか迷っている親御さんも多いと思います。22日、萩生田文部科学相が学校での方針を示しました。
萩生田文科相「現時点では学校を会場とした集団接種というのを中学生あるいは小学生でやるということは考えていない。学校での集団接種はやっぱり、受ける人と受けない人のある意味差別化にもつながって、それがいじめなどにもつながることも心配されますので」
大学では、すでに集団接種が行われていますが、小・中・高校での新型コロナウイルスワクチンの集団接種については、現時点で推奨しないとしていて、保護者の同意のもとで個別接種、かかりつけ医や自治体の接種で進めていきたいという考えを萩生田文科相は示しました。
学校での集団接種を推奨しない理由としては、接種後の体調不良にきめ細かな対応が難しいこと、打つか打たないかで接種への個人の意思が尊重されず、同調圧力を生む恐れがあることなどを挙げました。
■子供へのワクチン接種どうすれば?
そうなると、子供はワクチンを打った方がいいのが打たない方がいいのか、さらに迷うことになります。大前提としてワクチンの接種対象年齢は、日本ではファイザー製だと12歳以上、モデルナ製だと18歳以上になっています。つまりファイザーは最年少で小学6年生から打てるということです。
小児科の専門医らでつくる日本小児科学会などは、健康な子供へのワクチン接種には意義があるとしました。子供たちはコロナ対策で様々な制限を受けている、一緒に住む高齢者に感染を広げない意味があるとし、メリットとデメリットを十分理解し接種前、接種中、接種後にきめ細やかな対応が必要としています。
慎重な姿勢を取る理由としては、子供はまれに重症化することもありますが、新型コロナウイルスに感染しても比較的軽症ですみます。一方で、接種後の痛みや発熱といった副反応が高齢者に比べて若い人に多く現れることが報告されていることなどが挙げられています。
■子供の感染防ぐには“大人の接種”が重要
そして、最も大事な点として小児科学会が強調しているのが、子供を新型コロナウイルス感染から守るためには周囲の大人へのワクチン接種が重要だということです。
厚生労働省の研究班が約1700人の子供の感染経路を調べました。すると「学校や幼稚園、保育所」でうつったケースはそれぞれ5%ほど、これに対して約70%以上と最も多かったのは「家庭内」でした。さらに詳しくみると、父親からの感染が約44%を占め一番多いです。そして母親からが約30%、祖母からが約6%です。
リモートワークも進み、共働きの家庭も多いとは思いますが、お父さんが出社して外の人と接して家の中に持ち込んでしまったケースが多い可能性があることが、データにあらわれています。
子供同士でうつすより両親や祖父母、つまり周囲の大人がうつしているケースがかなり多かったということです。子供のワクチン接種は周りの大人がメリット、デメリット考えることが大事になりますが、まずは大人がワクチンを打つことが大事といえます。
■副反応とワクチンの効果に“差”は?
接種が進む中で、ワクチンを打ったあと腕が痛む、発熱したといった、副反応が出る人もいます。国立国際医療研究センターが、副反応でワクチンの効果に差が出るのかを調べました。
ファイザー製のワクチンを打った医療従事者約220人の結果によると、腕の痛みを強く感じた人、あまり感じなかった人でワクチンの効果を示す中和抗体の量に差はありませんでした。また、接種後の発熱、高熱が出た人、平熱だった人で中和抗体の量に同じく差はありませんでした。つまり、副反応が強くても弱くてもワクチンの効果に差がないという結果でした。
国際医療研究センターは「痛みが大きかったり高熱が出たりしても中和抗体を多く得られるわけではない」ことがわかったとしています。
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新しいワクチンなので、安全性がわからないと不安に陥るのは当然です。不安を少しでも和らげるために大切なのは正しい情報を得ることです。個人の発信をうのみにせずに信頼できる機関からの情報をもとに判断することが重要です。持病がある人はかかりつけ医に事前に相談しておくことも大切です。
(2021年6月22日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)