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盛り土「工法は不適切」静岡・副知事が会見

2021年7月8日 1:51
盛り土「工法は不適切」静岡・副知事が会見

熱海市の土石流災害では、発生から5日目となった7日も、25人の方の安否がわかっていません。そんな中、盛り土があった場所が崩落したことについて、難波副知事が会見。自身の見解を述べました。注目したのは、「盛り土の量」です。


■2010年には「産業廃棄物が」 当時は撤去されたが

2010年に撮影された映像を見ると、カメラは、今回崩落した盛り土があった場所を撮影していました。

土石流が始まった谷は、盛り土によって土地が階段状になっているのがわかります。そこにあったのは──

撮影者「動画だとあんまり谷に近づいていないじゃないですか。なぜかというと、近づいちゃうと産業廃棄物が映っちゃう。電化製品とか白物家電的な物が谷にうずたかく積まれていた」

静岡県によりますと、この映像の直後の2010年11月、盛り土部分の廃棄物については、当時の土地の所有者である神奈川県内の不動産会社が撤去したということです。


■「盛り土」で様々な問題…“土木技術者”の副知事が見解

土石流のおよそ半分を占め、被害を拡大させた盛り土。7日も様々な問題が明らかになりました。

静岡県は6日、今の時点で盛り土が不適正であった認識はないとしていましたが、7日に2度会見したのは、副知事です。

静岡県・難波副知事「私自身、土木技術者でありますし、修士論文はたまたまですけども『降雨時の斜面安定の不確実性について』」

盛り土について自身の見解を述べました。

難波副知事「盛り土の工法が適切であったのかというと、技術者の個人的見解として、この工法は不適切であっただろうと」

まず、取り除いたという廃棄物については。

難波副知事「異物ですね、プラスチック片が(現在も)入っていたように思います」

そして注目したのは、盛り土の量。

難波副知事「届出は3万6270立方メートルになっております。(崩落したのは)5.4万立方メートルということですので、これは違っております。これだけ(3万6270立方メートル)のものが盛られると申請が出されていたのではないか。その上にどんどんどんどん積まれていって…」

確認中としながらも、元の計画よりもおよそ1.5倍の盛り土が行われた可能性を指摘。さらに高さや段の積み方も申請時の計画とは違うと述べました。その場合、仮に事前の計画通りの排水設備や堤防があったとしても災害に耐えることはできないと分析しました。


■「オーバーフロー…それはダメ」

盛り土をした業者から相談された弁護士も、こう感じたといいます。

業者から相談された弁護士「これだけの量を許可しているのに、それ以上の量を入れたらオーバーフローでしょ。それはダメです。オーバーフローしているなら不法投棄の問題が出てくるからダメだなと」

一方、現在の土地所有者の代理人弁護士に、これは現所有者が盛ったものではないのかと聞いてみると──

土地所有者の代理人弁護士「全然全然違います。買ってから一切そういう整地とか盛り土とかしていませんから」

現在の所有者は、盛り土をした当時の所有者である不動産会社に対し法的措置を検討しているということです。

難波副知事「災害を甚大化させたのは、ここにあった盛り土、この5万(立方メートル)を超える盛り土であったことは推定ではなくて確実」

静岡県は、外部の見解を求めることも検討しています。

7月7日放送『news zero』より。