両陛下 土石流災害に“哀悼とお見舞い”
宮内庁によりますと天皇皇后両陛下は今月3日に静岡県熱海市で起きた大規模な土石流災害について深く心を痛め、5日、犠牲となった人たちへの哀悼と被害を受けた人たちへのお見舞いの気持ちを侍従長を通じて川勝平太静岡県知事に伝えられました。災害対策のために尽力している関係者に対してもねぎらいの気持ちを伝えられたということです。
――井上さん、このニュースをどのように受け止めましたか?
3日の発災から2日。被害の全体が見えない中でのお見舞い表明に、両陛下の強いお気持ちを感じました。天皇陛下は水問題の研究をライフワークにされています。大雨による災害ももちろん研究テーマに含まれ、陛下はその後の大雨被害にも心を痛められていると思います。
――豊かな水資源ということだけではなく、災害を含めて幅広く水問題を研究されているんですね。そして熱海という場所で今回は大きな災害が起きてしまいました。
熱海は、夏に静岡県下田の御用邸で静養される折、行き帰りに列車で必ず通る駅で、地理的な状況もよくご存じだと思います。陛下は59歳の誕生日を前に「国民に常に寄り添い、人々と共に喜び、共に悲しみながら、象徴としての務めを果たしてまいりたい」と話されています。去年の九州南部豪雨の時もそうでしたが、発災から間もない段階でのお見舞い表明に、国民に寄り添おうとされていることを感じます。
【井上茂男(いのうえ・しげお)】
日本テレビ客員解説委員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)。