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“高校生らしさ”を生徒が自ら考える校則に

2021年7月27日 23:33
“高校生らしさ”を生徒が自ら考える校則に

何気なく使っている「高校生らしい」という言葉。この言葉の意味を、高校生自らが考えて体現できるようにするために、筑波大学附属坂戸高校では生徒主導で校則を変えた。生徒会長の塩川遥香さんらがアップデートした“高校生らしさ”とは。

■生徒を信用するから委ねることができる

生徒が学校生活を送る上で、校則は切り離せない。理不尽な校則やルールを巡り、嫌な思いをしたり、場合によっては学校に通いたくなくなったりするケースもあるという。

校則の中で、何気なく、しかし頻繁に使われる“高校生らしい”“高校生にふさわしい”という言葉。高校生らしいとはどういうことなのだろうか。この言葉をアップデートするために行動したのが、筑波大学附属坂戸高校生徒会長の塩川遥香さんだ。

塩川さんは、2年間にわたる学校との話し合いを経て、15あった「整容に関する校則」を1つにまとめた。ポイントは“各自の判断に委ねること”だったという。

「“高校生らしさ”や“高校生にふさわしい”というのは、人それぞれの価値観に依存するものです。私たちの学校では、それはそれとして、各自に判断を委ねる、ある意味自由で多様性を認めあうことをテーマに進めました。もともと、15項目の細かい整容規定がありましたが、『学校生活にふさわしい服装と容姿を状況や他者にも配慮して自身で判断すること』という一文のみにしました。その“ふさわしさ”というのは『各自の判断に委ねられていますよ』『あなたたちを信用しているからこういう校則を成り立たせますよ』と整理して、学校側と一緒に作り上げました」

規則を細かく定めることは、子どものためになっているようで、案外、自分で考える力を養う機会を奪っているのかもしれない。

塩川さんが校則に疑問を持ち始めたのは、高校1年生の時の生徒総会。一人の生徒が「ピアスはなんで禁止なんですか?」と質問したことがきっかけだったという。

「私の学校はグローバルでいろんな国から生徒が集まっていて、国柄ピアスをつけていたり、髪を染めている人もいました。それがなんでいけないんだろうというところから始まって、逆に生徒で考えてみてもいいのではと思い、今の形に至りました」

■生徒が意外と保守的だった

プロジェクトを始めると、想定していたよりも様々な反応が生徒から出たという。

「私の予想としては、制服が(強制力のない)標準服になればみんな喜ぶと思っていましたが、意外と、生徒からの保守的な意見が多かったです。例えば、私服が差別やいじめにつながるのではないか、周りから不良校だと思われてしまうのではないかという意見がありました。そこで、2週間のトライアルウィークを設けたんです。すると、8割から9割が『意外と大丈夫だったね』ということで賛成意見に変わっていきました」

今回の校則変更で、制服は「標準服」となり、式典のときには着用するが、それ以外のときは制服と私服を生徒が選択できるようになった。生徒によっては「憧れの学校の制服を着たい」と考える人もいる。完全になくすのではなく、選択できる状況にしたことが、生徒から違和感なく受け入れられたのではという声もスタジオからは挙がった。

■委ねるからこそ生まれる責任感

変更前の15の項目は、化粧や装飾品に関するもので、一般的に高校で見られるようなものだった。1つに絞ることは思い切った決断だったという。

「最初は、生徒の中でも髪の色のトーンを決めるとか、細かい規定を作ろうという話もありました。でも、ここはいっそ個人に委ねようということで。断捨離ですね」

また、校則を変更したことは、学校の雰囲気や生徒同士の会話内容にも影響があるという。

「学校の雰囲気もガラッと変わりました。私たちの制服は紺一色にワイシャツ着用でしたが、それぞれが洋服や髪色を選べるようになって、全体的な雰囲気がすごく明るくなったというのが正直な感想です。『今日の服おしゃれだね』とか『髪色きれいだね』と会話の幅も広がりました。生徒一人ひとりがしっかり責任を負っているという感覚もあります。委ねられているんだから、自由に責任を持とうという感覚になっていると思います」

都立北園高校で、生徒指導の問題に取り組む前生徒会長の安達晴野さんは「校則の文に、生徒が自分たちで考えて判断すること」が明文化されていることを評価する。

「自分たちで考えて判断することが明文化されているところが本当にすごいと思います。僕の学校では、“高校生らしい服装で”というだけで、条文自体には生徒に考える余地が保証されていません。僕の学校の問題解決の一種として、校則や条文を変えていくとか、先生と話し合って約束をするなど、ゴールの一つになりうると思いました」

当事者である高校生が、自ら“高校生らしさ”を考える制度や場を作ること。それが、価値観をアップデートするスタートかもしれない。

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この記事は、2021年6月25日に配信された「Update the world #6 校則って、なんなん?」をもとに制作しました。
 
■「Update the world」とは日本テレビ「news zero」が取り組むオンライン配信番組。SDGsを羅針盤に、社会の価値観をアップデートするキッカケを、みなさんとともに考えていきます。
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