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「ピンクは女子の色」どうアップデート?

2021年6月30日 15:46
「ピンクは女子の色」どうアップデート?

「家事は女性の役割」など、性別に関する偏見「ジェンダーバイアス」によって、誤った決めつけを目にしたことはないだろうか。ジェンダーバイアスは、女性だけの話とは限らない。男性にも同じようなケースがあるという。

■主夫は“ヒモ”?「イクメン」は特別なことなのか

料理上手な男性を「料理男子」、甘いものが好きな男性を「スイーツ男子」と呼ぶことがあるが、これらは男性に対するジェンダーバイアスが作り出した言葉だろう。なぜなら、「男性は料理をせず、甘いものは好まない」という前提に立った表現だからだ。

3歳の息子の父であり、育児メディアに連載を持つお笑い芸人・チュートリアルの福田充徳さんは、「イクメン」という言葉の成り立ちについて推測し、自らの家庭事情も語ってくれた。

「世間ではまだ、『基本的に育児は女性がするもの』という固定観念が強いから、『イクメン』が登場したのでしょうね。自分は料理が好きなので、作りたいときにやらせてもらっています。掃除や洗濯はどちらか気づいたほうがやっていますね。また、仕事で大阪に行って家に帰れないときは、後日その埋め合わせとして息子の面倒を見ることも。妻も仕事をしているし、家事も大変ですから、極力同じ負担になるようにしているんです」

作家・コラムニストの犬山紙子さんは、こう打ち明けた。

「うちは夫が主に家事を担当しています。お互いに得意なことをやり、一日の仕事量が同じぐらいになるように割り振っています。こういったやり方は賛同も得られますが、男性が家事をやると“ヒモ”と感じる方もいるようです。女性が専業主婦なら“ヒモ”とは呼ばれないのに、男性だとそう言われることがショックでした」

これも「男性は大黒柱として、お金を稼ぐ」「女性は家にいて、家庭を守る」という固定観念が残っているからだろう。

大学院でジェンダーを研究する日本テレビ解説委員の小西美穂は、「意識を作るのは言葉です。だから、言葉をアップデートしていくことはとても大事なこと。言葉を変えることで意識も変わります。『ビジネスマン』は『ビジネスパーソン』、『看護婦は看護師』、『保母は保育士』へと、“ジェンダーニュートラルな言葉”に変わっていった経緯があります」と解説する。

■「男の子はピンク色を持ってはいけない」という刷り込み

性差に関して“こうあるべき”という固定観念を打ち破ることは、想像以上に難しいようだ。幼少期から当たり前のように、決めつけのイメージが刷り込まれているからかもしれない。たとえば、女の子が好みそうな色というと、たいてい「ピンク」と答える人が多いのではないだろうか。だが当然、男の子でもピンクが好きな子はいる。

福田さんは、3歳の息子と保育園用のリュックサックを買いに行ったときのエピソードを紹介した。

「息子がピンクのリュックサックを持ってきたので、子どもの気持ちを尊重しようとは思ったのですが、周りの友だち『男の子のくせに』と言われたり、変にいじられたりするのでは、と親として少し心配になりました。ピンク色が好きな理由を聞いたら、とにかく桃が好きだから(笑)。次に好きな色が紫。これもブドウが好きだからと。結局、恐竜の緑色に落ち着きましたが…」

一方、犬山さんは、子どもが偏見を持たないように、日々奮闘しているという。

「4歳の子どもが『“星のカービィ”はピンクだから女の子だ』と言い張るので、『男の子でもピンクを付けても良いのよ』と話したのですが、あるとき『男の子はピンク色を着ちゃダメなの』と言い出したんです。子どもに論理的に説明してもなかなか伝わらないので、保育園の送迎をしている夫にピンク色の洋服を着てもらい、男の子がピンクを来ても大丈夫なことを伝えています」

サッカー元日本代表の中澤佑二さんは「高校時代のサッカー部のユニホームがピンクで、他校から男なのにピンクを着ているとバカにされたことがありました。でも、僕らは誇りに思っていましたね」と自身の体験を振り返った。

これも何か特定の色がダメということではなく、やはり外的な要因によって、自分の好きな色の選択肢が狭められてしまうことに課題があるようだ。男の子がピンクが好きで、女の子がブルーが好きであっても、本来であれば何らおかしなことではない。

子どもの頃からの経験は、やがて習慣化され、当然のことして刷り込まれてしまう。まずは周りの大人が、いかに偏見や思い込みを取り払った選択肢を示せるかが大切だろう。目指すべきは、本当に好きなものは好きと、気兼ねなく言える世界のはずだ。

 ◇

この記事は、2021年3月27日に配信された「Update the world #3 ジェンダーバイアス」をもとに制作しました。

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