選手亡命へ“欧州最後の独裁者”の国で何が
代表のコーチへの不満をSNSで発信し、強制的に帰国することを命じられた、陸上・ベラルーシ代表の選手が、第三国への亡命を希望しています。選手が自らIOCの介入を求めるなど、波紋が広がっています。
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2日午後5時すぎ。都内にあるポーランド大使館に入ったのは、陸上ベラルーシ代表のクリスチナ・チマノウスカヤ選手。関係者によりますと、チマノウスカヤ選手は、ポーランドへの亡命を求めているということです。
先月30日、陸上女子100メートル予選に登場したチマノウスカヤ選手。その姿は1日夜、羽田空港に。帰国を命じられたのです。しかし、それを拒否し、周囲には多くの警察官の姿が…。
ロイター通信によりますと、帰国を命じられた理由は、代表コーチへの不満をSNSに発信したことがきっかけだといいます。
チマノウスカヤ選手「IOCに支援を依頼します。承諾なしに私を帰国させようと圧力がかけられています」
圧力をかけられているとIOCに介入を求めていました。
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東ヨーロッパに位置する旧ソ連のベラルーシ。「ヨーロッパ最後の独裁者」とも呼ばれるルカシェンコ大統領は、以前までベラルーシオリンピック委員会の会長を務めていました。
しかし、IOCは「アスリートを政治的差別から守っていない」などの理由で、会長としての参加を認めないと発表。その後、会長職を長男に譲っていました。
チマノウスカヤ選手は、去年8月の大統領選直後、自身のSNSに――
「私たちは言論の自由を支持し、暴力のない世界を支持している」
政権に批判的な投稿をしていました。
ただ、ベラルーシオリンピック委員会は、あくまで「感情的・心理的な状態から東京大会への出場停止を決定した」と発表。
IOCは。
IOC マーク・アダムス広報部長「私たちは、けさも再び彼女と話をしました。次にはどんなステップがあるか、彼女の希望する道を理解しサポートしていきたい」
チマノウスカヤ選手は今後、ポーランドに亡命する手続きを行うとみられています。