急きょパラ観戦へ…教師は「とても不安」
子どもの新型コロナウイルス感染が増えています。施設内で感染し、家庭内で拡大するケースが確認されています。一方、学校の東京パラリンピック観戦をめぐり、開幕当日の24日、2つの区が中止を決めました。引率する教師からは不安の声が上がります。
■子ども感染深刻…「感染力が違う」
東京・荒川区の武田内科小児科クリニックでは24日、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきました。父親が感染したため、3人の子どもがPCR検査を受けていました。
クリニックでは1か月ほど前から、子どもの感染が増えているといいます。
武田千賀子副院長は「感染力が違うと思います。子どもにかかりにくいと言われていたものが、子どもにもかかってしまう」と話します。以前は無症状の子どもが多かったものの、今は発熱する子どもが増えているといいます。
東京では24日、10歳未満252人、10代434人の感染が判明しました。子どもの感染が深刻化しています。
武田副院長
「子ども同士でうつして、子どもが家に(ウイルスを)今度持っていく。家で介抱しているお父さん、お母さんにうつしてしまうというのはあります」
都内では24日、保育園や学童で28人が施設内感染しています。クリニックにも、保育園でコロナが発生したため、PCR検査を受けに来た子どもの姿がありました。
武田副院長
「これから学校が始まって集団生活が始まると、感染が広がってしまう可能性は十分あると思います」
■パラ観戦 2区で学校「参加中止」
そうした中、東京パラリンピックを地元の児童・生徒が観戦する「学校連携」について24日、動きがありました。
都内8つの自治体の児童・生徒ら約13万人が参加する方向で調整していましたが、開幕当日の24日になり、子どもの感染が増えていることなどから、江戸川区と江東区が、参加中止を決めました。
多くの競技会場がある江東区の担当者は「教育委員会としてギリギリまで考えていたが、子どもの安全を考え中止にしました」と説明します。
24日の時点で参加の意向を示しているのは、新宿区・渋谷区・杉並区、八王子市の約2万人です。
都は感染防止対策として、児童・生徒らへのPCR検査などの実施を調整しています。ただ都から杉並区に、PCR検査の詳細な連絡が来たのは24日の夕方になってからでした。観戦の2日前に検査キットが届く予定のため、間に合えば参加する方針です。
一方、25日の車いすラグビーをはじめ、合計で約9000人が観戦予定の渋谷区には、24日夕方の時点で都からの連絡はありません。検査が間に合わなくても参加する予定だといいます。
■観戦予定の教師「とても不安」
観戦に参加予定の、都内の小学校に勤務する教師に話を聞きました。「子どもたちにも最近は感染者が多くなっていると聞くので、連れて行くのは感染の不安がとてもあります」と胸の内を明かします。
勤務する学校は、感染の拡大を受けて一度参加中止を決めたものの、区から「観戦希望者がいる場合は希望に沿いたい」と連絡があり、急きょ参加を決定しました。
そのため、普通であれば行うべき下見などができていないといいます。
教師
「例えば気持ちが悪くなった時に、どこに連れて行けばいいんだろうとか…。見通しが立たないので、とても不安です。パラリンピック観戦だけじゃなくて、その後に子どもたちの日常があるということも考えて、またもう1回、考えていただきたいなと思っています」
(8月24日『news zero』より)