「総力戦」保健所ひっ迫…医師らが入院調整
新型コロナウイルスの感染拡大で自宅療養者が増え、保健所がひっ迫しています。そこで医師が市役所に常駐して受診や入院の調整を手がけたり、医師が経過観察を担ったりと、サポートする動きが広がっています。知恵を絞る医療従事者。総力戦の様相です。
■市役所で常駐の医師ら「入院調整」
東京・八王子市役所。一本の電話が鳴り、職員は「八王子市コロナ対策支援チームです」と受けました。立ち上がったばかりの「支援チーム」が、対応に追われていました。
別の職員は電話で「はい…。満床になっていますかね」と話していました。入院先が見つからず、近くにいる救急救命士に相談。救急救命士は「東海(大学八王子病院)にまだ枠がありそうだったら東海にお願いして」と伝えました。
入院調整はこれまで、保健師が担ってきましたが、医師や救急救命士らも常駐し、受診や入院の調整を行っています。
支援アドバイザーの救急救命士が「(酸素飽和度)88%ですから、入院視野に入れて」と助言する場面もありました。
■自宅療養者増で…保健所「ひっ迫」
八王子市だけでも、自宅療養者は25日時点で1751人に上ります。そのリストは大量で、60人以上の保健師らが健康観察を行っていましたが、入院調整などに追われ、連絡が3日遅れたこともありました。
そこで、医師らが受診や入院が必要かを判断することで、症状に応じた調整をミスマッチなく行うことができ、保健所の職員は健康観察に専念できるようになったといいます。
八王子市職員
「特に、呼吸症状の判断を電話での聞き取りだけでしなくてはいけないことに、大変精神的にも負担が多かったです」
さらに、各病院の病床の空き状況はオンライン会議で収集しています。
東京医科大学八王子医療センター
「現在ICUの受け入れできるベッドはなくてですね。中等症病棟にもけっこう重めの方がいるということで、受け入れできない」
市内の病院
「あさって3人くらい同時に出る予定です。なんとか受け入れができると思います」
■医師が電話で「経過観察」担当
ひっ迫する保健所を助ける動きは、他にもあります。
東京・世田谷区の池上内科循環器内科クリニックでは、保健所が担っていた経過観察を医師が始めました。
池上晴彦院長
「味覚とか嗅覚とかは、その後どうですか?」
電話診療を受ける自宅療養中の女性(40代)
「しょっぱいものとか確認はとれるんですけども、嗅覚はだめです」
女性は「(高熱で)1日中寝込んでしまう状況が2~3日続きました。『保健所から連絡が来る』と手順では聞いていたんですけども、待っていたんですけど、1日経っても来ず、2日経っても来ずで。クリニックの先生に電話で相談して、安心できました」。
クリニックがある地域の「玉川医師会」の会議で、池上院長は「より多くの先生がより多くの検査ができるようになれば、早期の対策ができるのかなと(思います)」と提案。医師会会長は「できることはどんどんやっていきましょう」と言いました。
医療を支えるため、医療従事者らが知恵を絞っています。
池上院長
「総力戦という形で担っていかなきゃいけないのかな」
(8月26日『news zero』より)