知事「子供だましのウソ」野外フェスに怒り
誰がいつ、どこで新型コロナウイルスに感染してもおかしくない状況の中、愛知県であった野外フェスのずさんな対策に批判が殺到。酒の提供もあり、知事が厳しく糾弾しました。都内の新規感染者数は1週間前より減りましたが、医療提供体制のひっ迫は深刻です。
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■「密」状態…フェスに批判殺到
29日に愛知県常滑市で行われた野外フェスが、感染対策がずさんだったとして批判が殺到しています。マスクをしていない参加者もいて、「密」状態でした。
酒の提供もなされ、主催者は謝罪文で「自粛の要請も(県から)頂いていましたが、一部キャンセルできない物を販売しますと愛知県担当者に報告し、過度の飲酒にならないよう1人2杯までとした」と弁明しました。
大村知事は31日、会見でこれに反論しました。
「『(県の担当者が)過度な飲酒でなければ酒の提供が可能』と言った事実はありません!彼らが勝手にですね、勝手に作っている話」
県は酒の提供について、開催前に4回にわたり自粛するよう求めていましたが、主催者側からは「検討する」との返答にとどまっていたといいます。
■補助金「3000万円」取り消しも
大村知事は「子供だましのようなウソはすぐばれる」「こうした悪質な業者に悪意を持ってやられるともう、やりようがない」と厳しく批判しました。
今回の問題を受け、梶山経済産業相は、国や自治体のルールを守ることを条件に交付を決めていた補助金3000万円の取り消しもあり得る、との考えを示しました。
この野外フェスに出演していたヒップホップグループ「BAD HOP(バッド・ホップ)」は、9月1日、2日に横浜アリーナで予定していた公演を急きょ延期。「野外フェスを主催した」という誤った情報が拡散されたこともあり、決断したといいます。
■都内の重症向け病床「100%」に
31日の都内の新たな感染者は2909人で、4220人だった1週間前の24日からは1300人以上減りました。9日連続で前の週の同じ曜日の人数を下回りました。
一方で、医療体制のひっ迫は、なお深刻です。内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室によると、都内では重症者用の病床使用率が100%(30日時点)に達しました。
全国の重症者は2110人(30日時点)となり、19日連続で過去最多を更新しました。
都内では15人の死亡が確認され、うち40代と50代の男性、80代女性の合わせて3人は自宅療養中でした。また、60代男性と90代女性の2人はワクチンを2回接種していました。
全国で亡くなった人は65人となり、60人を超えたのは6月16日以来です。
■コロナ新病棟で「要請に応えたい」
都内の病院では、新たな動きも出ています。
八王子市の右田病院では、新たな病棟の完成に伴い、コロナの中等症患者の受け入れを始めました。
右田隆之院長は「受け入れ体制が整ったということで、重点医療機関に手挙げをしました」と言います。
国と都は都内全ての病院や診療所に対し、コロナ病床の新設などを要請しており、小池知事は「最大の危機を乗り越えるために、国と都、医療機関などが強固に連携して、まさに総力戦で」と求めていました。31日が、要請への回答の期限でした。
右田病院では、要請の前から準備していた20床を「新設」と回答しました。
右田院長
「いつかはコロナを受け入れる病棟をつくらなければいけない。そういう視点で日頃やっていましたので」
8月に入ると、救急隊からの依頼のほとんどがコロナ患者になりました。診断後に陽性が判明した患者の対応などで、開設前から経験を積むことができたといいます。
右田院長
「社会の方で、コロナを受け入れてくれる病院を歓迎するところもありますので、そういう雰囲気に後押しされました。地域の要請に応えたいという思いはありました」
(8月31日『news zero』より)