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笑顔のヒーロー コロナ禍に挑む大道芸人

2021年10月1日 16:26
笑顔のヒーロー コロナ禍に挑む大道芸人

コロナ禍で、エンターテインメントは必要か?仕事はほぼゼロ…それでもご当地ヒーローは立ちあがりました。

子ども「悪いやつやっつけろ!」

富山県にある、イベント会社。大道芸で全国を駆け回り、子どもたちに笑顔を届けてきました。しかし、新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされています。社長の田辺桂也さん。そして、入社9年目の雫さん。

雫さん「私からパフォーマンス奪われたら、自分って何もできない人なんだなってのをすごい痛感しちゃって」

物産展の販売員をしながら、持続化給付金でしのぐ日々。自分たちができること、それは“ご当地ヒーロー”を作ること。“きときと戦士キットムーン”。

“きときと”は富山弁で「元気」。我慢を強いられている子どもたちに「ヒーローが必要!」そう考えたのです。

田辺さん「子どもが笑うってのは本当にね、心豊かになりますよ」

今でも心に深く残っているのは、東日本大震災の被災地で行ったショーのこと。

田辺さん「メチャクチャ盛り上がりましたよね。芯から楽しんでいるっていう感じ。あの時はエンターテインメントの求めがありました。コロナの場合は、それをこう抑制せざるを得ない」

きっとまた、笑顔にできるはず、社員にハッパをかけました。

田辺さん「『キットムーンどこでも行ってこい!』『会社、大丈夫か?』って実は思ったんだけど」

動き出した、きときと戦士キットムーン。演じる雫さんは太極拳にダンスと、猛特訓を続けます。

雫さん「戦隊モノってレッドが男性で、女性はピンクかイエローで端っこに立っているから、女性がレッドでセンターにいてもいいんじゃないかと思いました」

さらに、ショーの途中であえて仮面を外そう!子どもたちと一緒に笑顔で敵を倒すというアイデア。

雫さん「笑顔はいいですよ、笑顔は」

アイデアはあるけど、お金はありません。

YouTube動画「2021年、いよいよ~こちら!クラウドファンディングが始まりました」

総額200万円ほどと見込んだプロジェクト。2か月の期限をもうけ、100万円の寄付金を募ることに。地元の人たちも、力を貸してくれました。「お金はいいから」と、キットムーンの衣装づくりを引き受けてくれました。

プロのミュージシャンや富山出身のミュージカル女優も格安でテーマソング作りに力を貸してくれました。

そして、クラウドファンディングの期限があと1日に迫った日。

雫さん「クラウドファンディング、100万円、達成しました。コメントがまたすごいうれしくて。なんか、やっていいプロジェクトなんだなって確信が持てた」

寄付されたのは137万111円。

田辺さん「エンターテインメントは、やっぱり必要だったんだなって。僕らも今感じてるし、やって良かったと」

その晩、富山の夜空には、大きなフルムーンが。ついにキットムーンは子どもたちのもとへ。

キットムーン「きときと笑顔光線!富山~だいすき~」

田辺さん「いやホント久しぶり。なんかねぇやっぱりいいっすね」

雫さん「笑ったらこんなに楽しいんだよ。笑顔の素晴らしさを伝えていきたいです」


*2021年9月12日放送NNNドキュメント’21『笑顔のヒーロー ~コロナ禍に挑む大道芸人たち~』(北日本放送制作)を再編集しました。

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