【3月4日は世界肥満デー】“肥満”は誰のせい…? 意識調査発表「肥満は自己責任」と考える人7割もBMIは遺伝的要因が約70%との報告も

■肥満症とは…?
日本肥満学会によりますと、そもそも“肥満症”とは、体格を表す指標であるBMIが25以上(例えば160cmで64kg以上、180cmで81kg以上など)かつ高血圧などの健康障害がある場合か、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合に診断をされる病気です。
■肥満は「“100%”自分の責任」3人に2人
医薬品開発などを行う日本イーライリリー株式会社などが肥満症患者や医師、20歳以上70歳未満の一般生活者計1600人に対し肥満についての意識調査を行いました。
調査結果では、肥満症患者の約9割、一般生活者の約7割が、肥満は「本人の責任が大きい」と考えていたことが明らかになったということです。
また、肥満は「“100%”本人の責任」と回答した肥満症患者は、63%と、ほぼ3人に2人にのぼる結果となりました。
「“100%”本人の責任」と回答したのは、医師の場合は6%、一般生活者の場合は23%だったことから、肥満症患者はより強く「肥満は自己責任」との考えを持っていることが明らかになりました。
■BMIは遺伝が約70%関係しているとの調査も
しかし、実は肥満になる要因は個人の生活習慣以外にも、遺伝、身体的、社会的要因などが複合的に関係していることなどから、肥満症は自分の努力だけでは解決が難しいとされています。BMIは遺伝的な要因が約70%関係しているという報告もあります。
一方で、今回の調査では、たとえ肥満の要因が複合的であり「自分の努力だけでは解決が難しい」と説明を受けたとしても、その意見に「同意」しないと答えた人が肥満症患者で34%、一般生活者で41%にのぼることも明らかになりました。
調査した日本イーライリリー株式会社などは、「肥満の要因が自己管理能力の欠如にあるという偏見や差別が社会に存在し、本人の努力不足や生活習慣の改善にフォーカスされがちだ」と指摘しています。
今回の調査を監修した琉球大学大学院の益崎裕章教授は、「肥満症はすでに患っている病気の悪化や他の健康障害を引き起こすリスクのある慢性疾患で、保険診療による治療が可能であり、適切な治療を受けることによって健康障害の改善や予防が期待できる病気」だといいます。
こうした肥満をめぐる「自己責任」の偏見は、適切な治療ができるはずの肥満症患者の受診の妨げにつながっている可能性があるとして、「肥満症は、決して個人の責任ではない。肥満症の人が適切なケアを受けてよりよい人生を送るためには、本人や社会が肥満や肥満症を正しく理解し、偏見(肥満が本人の責任であるという考え)を解消していく取り組みが必要」としています。