今年8月「福徳岡ノ場」の噴火 戦後最大級
今年8月におきた小笠原諸島の海底火山の噴火は、噴煙が少なくとも高さ16キロまで上がるなど、戦後最大級の噴火だったことが専門家の調査で分かりました。
この噴火では、放出された大量の軽石によって漁業被害が出ていますが、専門家は、軽石を伴う噴火は国内でも今後おこりうるとして、処理方法などきちんと記録して残していくことが重要としています。
産業技術総合研究所の及川輝樹主任研究員によりますと、小笠原諸島にある海底火山「福徳岡ノ場」で8月13日におきた噴火は、気象衛星などの解析から、噴煙の高さが少なくとも16キロから19キロまで達していたということです。
噴出物のほとんどが海に落ちたため正確な量は分からないものの、海上を漂う軽石などから推定した放出されたマグマなどの量は、1億立方メートルから5億立方メートルにのぼるとみられます。
及川研究員によりますと、この量は国内の噴火としては鹿児島県桜島の大正噴火につぐクラスで、戦後では最大級ということです。
この噴火では大量の軽石が海流にのって沖縄県などに漂着、港を埋め尽くすなど漁業被害も出ています。軽石を大量に出す噴火は江戸時代に富士山や浅間山でもおきていて、今後、居住地に近い所にある火山でも噴火の規模によってはおこりうると言います。
及川研究員は、「人が居住しているエリアで軽石が積もった場合、交通網やインフラに大きな影響を及ぼす可能性がある」「ただ近年は軽石噴火の経験が無く除去や処分方法もはっきりしていない」とし、今回の経験をしっかりと記録して、今後、被害軽減にいかすことが重要と話しています。