「ナラ枯れ」被害広がる 倒木の危険で公園“閉鎖“も 山中湖でも被害拡大
夏真っ盛りのいま、青々と茂るはずの木が枯れ、倒木の危険があるため、閉鎖を余儀なくされた公園がでています。コナラなどの広葉樹が枯れてしまう病気、「ナラ枯れ」が広がっているのです。夏の避暑地、山梨県の山中湖でも、被害が拡大しています。
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4日、埼玉県ふじみ野市の公園を訪れると、フェンスに「7月25日から休園」と書かれた張り紙がありました。
中を見ると、木の葉っぱが茶色く枯れていました。木が次々と枯れ、倒木の恐れがでているのです。
周辺住民
「(本来は)もっと緑が鮮やかな時期ですよね」
周辺住民
「カブトムシやクワガタなどいるので、すごい残念だと思います。(公園に)入れないのは」
いったい、何が起きたのでしょうか。
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木が枯れる被害は東京・八王子市の公園でも起きていました。
八王子市東由木地区公園指定管理者 大沢敦さん
「これは、ナラ枯れで枯れてしまった木です」
コナラなどの広葉樹が枯れてしまう病気、「ナラ枯れ」が起きていました。
上空から公園をみてみると、まるで紅葉したかのように、赤茶色になった木々が点々とありました。被害は今年だけで、100本を超えるといいます。その原因は――
八王子市東由木地区公園指定管理者 大沢敦さん
「小さな虫がこういう穴を開けて、木に入り込むんですね。その際に、ナラ菌という菌を感染させちゃうんですね、木に」
カシノナガキクイムシという体長5ミリほどの昆虫が木の中に入り込み、「ナラ菌」というカビを持ち込むことで、木が枯れるといいます。葉っぱが全て枯れてしまうと、倒木の危険性もあります。そのため、人の行き来が多い場所にある枯れた木は、伐採されます。
周辺住民
「(緑が減るのは)さびしいですよね」
さらに厄介なことがあります。
八王子市東由木地区公園指定管理者 大沢敦さん
「ナラ枯れがでている場所でカエンタケという、触っただけでもかぶれてしまったりとか、毒性の強いキノコ(が現れる)」
枯れた木のそばには、猛毒のキノコ「カエンタケ」が発生しやすくなります。少量でも食べると死に至る場合があり、公園では、とらないよう注意を呼びかけています。
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夏の避暑地、山梨県の山中湖でも、被害が急拡大しています。
広大な森を貸し切ってバーベキューも楽しめる貸別荘「山中湖ハウス」では、この1年で80本ほどが被害にあいました。山中湖村では、周辺のキャンプ場など、ナラ枯れ被害が前年比で約4倍に広がっているといいます。
「山中湖ハウス」では、多くの木が、下の部分にシートが巻かれていました。
山中湖ハウス管理人 平戸伸幸さん
「(夏ごろに)中に入り込んだ虫が出てきたときに、粘着シートでキャッチして、それが飛んでいって他の木に移らないようにする予防策です」
しかし、ここでも多くの木を伐採することになるといいます。
山中湖ハウス管理人 平戸伸幸さん
「葉っぱ落とす力がもうないということで、そこで(落葉せず)もう止まっちゃってるんです。これは、完全に伐採対象になります」
多くの木を伐採することに…。そこでこの施設では、“死にゆく森を生かす取り組み”をスタートさせました。クラウドファンディングで集まった資金で、被害にあいにくい桜の木などを新たに植える計画をしています。
また、伐採した木も有効活用します。
山中湖ハウス管理人 平戸伸幸さん
「(伐採後は消毒し)暖をとるためのまきとして、ストックする予定です」
山中湖村では拡大防止シートの費用を補助するなどして、対策を強化しています。