オミクロン株 感染力“強い”重症化は?
日々、世界各地で急増している新型コロナウイルスのオミクロン株について、感染力や症状などが少しずつ明らかになってきました。最新のデータから見えてきたオミクロン株の特徴を、詳しく解説します。
3日時点でオミクロン株の感染者が確認されているのは、36の国と地域です。2日のナゼナニで伝えた「28」から8増えました。
アメリカでも続々と感染が確認されています。ニューヨーク州で新たに5人、他にもハワイやロサンゼルスでも確認されました。
また、ミネソタ州で確認された感染者は、ニューヨークで先月19日から3日間行われたアニメイベントに参加していました。2年ぶりに観客を入れて行われ、マスクの着用が義務づけられていました。
オミクロン株の感染者確認を受けて、ニューヨーク市長は、イベントの参加者に検査を受けるように求めています。
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■再感染リスク“3倍”分析…一方、重症者は?
海外での事例などから、少しずつ新たなオミクロン株の特徴がみえてきました。
最初にオミクロン株が確認された南アフリカの感染者の変異株の割合を示したグラフでは、去年9月ごろから今年の春ごろまでは「ベータ株」が大部分を占めていましたが、5月ごろから「デルタ株」がとって代わり、主流となっていました。
それが先月、突然、オミクロン株が出現しました。今月1日までに陽性反応が出た294の検体を分析したところ、74%がオミクロン株だったということで、しかも、最も古いものは先月8日に採取された検体だったということです。
南アフリカ国立感染症研究所は、「オミクロン株の場合、これまでの変異株と比べて、再感染するリスクが3倍高くなる」との分析結果を示しています。
一方、欧州疾病対策センターによると、1人の感染者が何人にうつすかを示す「実効再生産数」は、南アフリカで8月中旬から10月下旬までは1以下でしたが、先月中旬には2.2に跳ね上がったといいます。
オミクロン株の感染力の高さを示していると言え、ヨーロッパでも、数か月以内に、オミクロン株が感染の半分超に達するとの見通しを示しています。
ただし、これまでに確認されたヨーロッパでのオミクロン株感染者の半数は無症状、残りの半数は軽症とのことで、入院や重症化に至った人はいないということです。
感染者の大半が若者で、ワクチン接種を完了しているということです。
これまでのデータで、オミクロン株は感染力は強そうですが、症状が重い人は今のところいないということがみえてきました。
現状、オミクロン株に対しても、私たちにできることは、これまで通りの基本的な感染対策の徹底です。
■都内の感染性胃腸炎“患者数”例年並み増加か
こうした中、ちょっと気がかりな情報が入ってきました
東京都内の1医療機関あたりの「感染性胃腸炎」の患者数は、今年、11月下旬ごろから、増えてきています。感染性胃腸炎はノロウイルスなどによって引き起こされるもので、腹痛、下痢、おう吐が主な症状です。特に、小さい子どもがかかりやすい病気なので、気をつけていきたいです。
そして、注目は「去年の患者数」です。
例年、冬場に増える感染性胃腸炎が、去年は横ばいで、過去に例がないほど少なかったです。増えなかった理由について、東京都の健康安全研究センターの担当者に聞くと、「おそらく去年は、人と会わなくなった影響が大きいのではないか」といいます。
外食の機会が減り、なるべく人とは会わない生活の中で、子どもの感染も減ったのではないかということです。
ただ、今年は人との接触が去年よりも増えつつあることで、患者数も例年通り増えてきたのかもしれないです。
■「手洗い」「アルコール消毒」どちらが効果的?
感染性胃腸炎は、私たちがやっているコロナ対策だけでは防ぎきれません。
私たちが徹底的にやっている「石けんでの手洗い」、「手や指のアルコール消毒」ですが、実は、どちらかは、胃腸炎を引き起こすウイルスにはあまり効果がないそうです。どちらでしょうか。
感染症に詳しいグローバルヘルスケアクリニックの水野泰孝院長に聞くと、効きにくいのは「アルコール消毒」ということです。新型コロナやインフルエンザのウイルスには効果がありますが、感染性胃腸炎を引き起こすノロやロタのウイルスには効きにくいということです。
最近はいたるところにアルコール消毒が置いてありますが、それをシュッシュッとしてOK…というわけではないです。
手洗いをしっかりするのは大事ですが、洗い残しがちなところを簡単におさらいします。手のひら側は、だいたいよく洗えていますが、しわが多いところや指の間に注意が必要です。
手の甲側は、親指が盲点で、付け根のあたりなども洗い残しが多くなりがちなので、意識して洗ってください。
(2021年12月3日午後4時半ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)