突然の閉院…妊娠23週の女性「事前に教えて…」 体調崩しても“音信不通”の家族も
東京・荒川区にある産婦人科医院が突然、閉院し、妊婦からは「連絡が取れず不安」といった困惑や憤りの声が相次いでいます。「news zero」は、突然の対応を迫られた人たちを取材しました。
◇
12日夜、取材に応じてくれたのは、この医院に通っていた妊娠23週の女性です。
妊娠23週の女性
「事前に教えていただけていれば、もう少しゆっくり産院探し(できた)。ほかのところで(赤ちゃんを)産まないといけないので」
「急に突っぱねる感じというか。取りあえずとてもびっくりしたのと、これから産む予定だったのでそんなことあるんだと思って。これからどうしたらいいんだろうって…」
12日、東京・荒川区にある加藤産婦人科医院を訪ねると、入り口には「閉院いたしました。詳細はHPをご覧ください」との張り紙がありました。今週、何の前触れもなく、突然、閉院したといいます。
妊娠23週の女性も「閉院を知ったのは、急に加藤産婦人科の方からメールで『閉院のお知らせ』が来たので、開いたら、『5月8日に閉院しました』って。こちらから何も連絡が取れないようなメールだったので、どうしたらいいのか本当に分からないな」と話していました。
◇
突然の閉院の知らせに妊娠8か月の妻が通院していたという男性は12日、医院を直接訪ねました。しかし、呼び鈴を押しても応答はありません。
妻が妊娠8か月の男性
「正直、期待はしていなかったですけど…。家も近くなので様子はうかがおうかな」
このゴールデンウイーク中、妻が体調を崩して電話した際にも何も応答がなかったといいます。その後、他の病院を自分で探すことになったということです。
妻が妊娠8か月の男性
「他の病院を自力で探すことになりまして、他の病院で健診した時に『切迫早産の疑いがある』と。子どもと母親の2人の命を預かる医院として、不誠実な対応だと思います。おかしいなって」
この男性の妻は、ほかの病院への紹介状ももらえず、張り紙などのお知らせ以外、連絡が途絶えてしまったといいます。
一体、医院に何があったのか。
管轄する荒川区によると、閉院の理由は、「資金繰りの悪化」と「院長の体調不良」だということです。東京商工リサーチによると、医院はここ数年赤字続きで債務超過は2億円近くに上り、厳しい資金繰りが続いていたといいます。
荒川区は相談先をHPに掲載するなど、対応にあたっています。そのような中、救いの手を差し伸べる医院もあります。
待木医院・院長(東京・足立区)
「ネットとかで非常に困っている妊産婦さんがいるとのことだったので、(荒川区に)『何かありましたら、私のところでも診られますよ』と」
今回の加藤産婦人科医院の対応について、この院長は「医師の立場からしてみれば、苦渋の判断があったんだろう。いきなりやめるのは、患者さんはかわいそう」と話しました。
◇
妊娠23週の女性は「『紹介状お送りします』って書いてあって、紹介状がいつ来るのか何も分からない状態だったので不安しかなくて、取りあえず早く(病院を)探さないといけないと思って」と当時の心境について話しました。
女性は自力で別の病院を探し、幸いにもすぐに受け入れてくれることになったといいます。
妊娠23週の女性
「紹介状届いたのは、昨日ポストに入っていて、結構すぐ届いたので、そこはすごい安心しました。安心はしたんですけど、もう少し寄りそっていただけたら良かったなって」
「しっかりした理由があるのなら、それはもちろん仕方ないことだと思うので、分かってたなら言ってほしかったというのが率直な気持ちです」
(5月12日放送『news zero』より)