【全文】佳子さま 手話スピーチコンテストで挨拶
秋篠宮ご夫妻の二女・佳子さまは10日、都内でおこなわれた「第39回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席し、手話を使って挨拶をされました。
佳子さまは、全日本ろうあ連盟の非常勤嘱託職員で、流ちょうな手話で話されました。全文を紹介します。
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【佳子さま おことば】
本日、「第39回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」が開催され、皆さまとお会いできましたことを、大変うれしく思います。
本コンテストは、この2年間、コロナ禍の影響により、原稿と動画のみによる審査が行われてきました。
この間、最終選考に出場された方々のスピーチをまとめた動画がHPに掲載されており、私も拝見いたしました。
本年は、3年ぶりに会場に集まっての開催になります。コロナ禍の影響により大変なことが多い中、開催に向けて尽力してこられた関係者の皆さまに、心から敬意を表します。
このコンテストは、昭和59年に始まり、手話を勉強する若い人達を励ますとともに、手話への関心を高める上で、重要な役割を果たしてきました。
これまでに出場された方々が、その後、様々な分野で活躍されていることを伺い、開催の意義を感じております。
本日は、全国から選ばれた10人の高校生がスピーチを行います。本年のテーマは、「私ががんばってきたこと」あるいは「変化する社会の中で大切にしたいこと」です。
これらのテーマをもとに、高校生の皆さまが、どのようなことを思い、考え、発表なさるのか、楽しみにしております。
舞台上でのスピーチは緊張するかもしれませんが、これまでの練習の積み重ねが存分に発揮できるよう応援しております。
さて、本年アメリカでは、映画「コーダ あいのうた」がアカデミー賞の3つの賞「作品賞」、「脚色賞」、 「助演男優賞」を受賞しました。
ろうの家族の中で、1人だけ聞こえる高校生が主人公の映画です。ろう者の役を聞こえる人が演じる作品もありますが、この映画では、ろう者の役をろう者が演じました。さらに、その俳優が「助演男優賞」を受賞しました。
皆さまの中にも、この映画をご覧になった方がいらっしゃるのではないでしようか。
聞こえない人、聞こえにくい人が生活を送る中では、情報へのアクセス、コミュニケーションなど、様々な困難があると伺っております。
そのような中、これらの困難を改善し、聞こえない人、聞こえにくい人の生活を良い方向に変えていくため、関係する方々が努力を続けていらっしゃいます。
メディアなどで、手話を目にする機会が増えたり、これまで手話に関心のなかった人が、手話を勉強し始め、交流の輪が広がったという話も伺います。
このコンテストやさまざまな活動を通して、手話言語に対する理解がより一層深まり、誰もが安心して暮らすことのできる社会になることを願っております。
終わりに、長年にわたり、「手話によるスピーチコンテスト」のために尽力してこられた皆さまに敬意を表しますとともに、今回のコンテストが皆さまにとって素晴らしい思い出となることを願い、私の挨拶といたします。