【気象予報士・解説】「夜間の熱中症」に注意 気温下がらず熱帯夜に… 対策は?
11日(火)も関東甲信地方を中心に体温を超えるような危険な暑さになった所がありました。今後の暑さの見通しや、まだ体が暑さに慣れていない中、注意すべき「夜の熱中症」について、気象予報士の木原実さんに解説してもらいました。
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11日(火)も九州から東北を中心とした広い範囲で30℃以上の真夏日となり、35℃以上の猛暑日地点も続出しました。10日(月)に記録的な大雨となった九州北部でも気温が高くなり、復旧作業中での熱中症などが心配されます。
そして、中でも特に暑くなったのが関東甲信です。関東地方には気温を観測している気象庁のアメダス(=地域気象観測システム)が、伊豆諸島など島しょ部を除いて76地点あるのですが、そのうちの31地点、実に4割の観測所で35℃以上の猛暑日になり、群馬県や埼玉県では37℃以上と、体温を超えるような危険な暑さになった所もありました。
この強烈な日差しによって、地面などにも熱が蓄えられます。日テレ前で撮った地面の熱の様子を見ると、土の部分は熱を逃がしやすく、33℃程度となっていますが、屋外のタイルの所では67℃以上と、かなりの高温になっていました。このように、熱を蓄えてしまう建物やアスファルトなどが多くある都市部を中心に、夜も気温が高い状態が続きそうです。
―――夜も厳しい暑さが続くということ?
はい。12日(水)深夜0時の気温の予想をみると、この時間になっても千葉で29℃、熊谷で28℃、東京都心で27℃と、深夜になってもかなり気温の高い状態が続きます。そして12日(水)朝にかけても気温はあまり下がらず、前橋や熊谷、東京、横浜などでは最低気温が25℃を下回らない「熱帯夜」となる見込みです。このような状況下では「夜間の熱中症」に注意しなければなりません。
■夜でも高温
地面だけでなく、建物の壁や屋根なども同じように熱せられます。夜でも室温が高くなることがありますので、暑いと感じたらエアコンを適切に使用し、暑さを我慢しないようにしましょう。我慢をすることによって、熱中症の原因にもなり得ますので、注意が必要です。
■就寝時は水分不足に
就寝時は、なにもしなくても体の中の水分がどんどん抜けていきます。寝ている場所が暑ければ、寝汗などでさらに水分が抜けやすくなります。就寝前はしっかりと水分を補給しましょう。お酒やコーヒーなどは利尿作用があり、脱水になりやすくなりますので注意が必要です。
■初期症状に気づいたら
就寝時は、自分では熱中症の初期症状に気づきにくくなります。家族にめまいや頭痛などの症状がみられ、熱中症が疑われる場合は、エアコンで室温を下げたり、太い血管を冷やしたりなどして、体の熱を冷やすようにしましょう。そして、呼びかけても反応がにぶい場合や、自力で水分がとれない場合などは、ちゅうちょせずに救急車を呼ぶようにしてください。