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2022年5月29日 14:22

『ぬちどぅたから』天皇陛下が沖縄復帰50周年のお言葉に込めた思い

『ぬちどぅたから』天皇陛下が沖縄復帰50周年のお言葉に込めた思い

「皇室日記@日テレNEWS24」。長く皇室取材に携わって来た日本テレビ客員解説員の井上茂男さんと共に、皇室に関わるニュースをお届けします。今回取り上げるのは、天皇陛下が「沖縄復帰50周年式典」で述べられたお言葉です。

5月15日、沖縄が日本復帰から50年の節目を迎え、沖縄と東京で記念式典が開かれました。天皇皇后両陛下は御所からオンラインで出席し天皇陛下がお言葉を述べられました。

天皇陛下「沖縄には、今なお様々な課題が残されています。今後、若い世代を含め、広く国民の沖縄に対する理解が更に深まることを希望するとともに、今後とも、これまでの人々の思いと努力が確実に受け継がれ、豊かな未来が沖縄に築かれることを心から願っています」

陛下は、大戦で多くの尊い命が失われた沖縄で、人々が大切にした「『ぬちどぅたから』=『命こそ宝』の思い」について触れた上で「その後も苦難の道を歩んできた沖縄の人々の歴史に思いを致しつつ、この式典に臨むことに深い感慨を覚えます」と述べ、沖縄の一層の発展と、人々の幸せを祈られました。

――井上さん、陛下のお言葉をどのように受け止められましたか?

陛下は、復帰の時に中学1年生で、両親と一緒にニュースを見たこと、1987(昭和62)年の国体で初めて沖縄を訪問したことを振り返りながら、「今なお様々な課題が残されています」と述べられました。

おそらく基地問題のことを言われたと思いますが、政治的な発言にならないように配慮しつつ、沖縄に様々な課題が残ることに触れない訳にはいかないというお気持ちで言及されたのだろうと思います。

1987(昭和62)年、浩宮時代の陛下は、初めて国体で沖縄を訪問されました。訪問に先立って、沖縄学の第一人者から何度か教えを受けられています。

当時、現地で発表された「感想」に、「沖縄の人々は先の大戦を通じ〝ぬちどぅたから〟の思いをいよいよ深くしたと聞いていますが」というフレーズがあり、それが今回の式典のお言葉に重なります。35年前に学んだ沖縄の思いを、ずっと大事にされてきたのだと思いました。

――陛下は、これまでに何度沖縄を訪問されているのですか?

5回に上ります。皇室の方々は沖縄入りすると、最初に糸満市の南部戦跡を訪ね、国立沖縄戦没者墓苑に花を供えて拝礼されます。

また、長く沖縄の「豆記者」たちと交流されてきましたので、陛下も、皇后雅子さまも、沖縄に寄せる思いは特別です。

今回、陛下は「ミンサー」という沖縄の織物の模様を斜めにあしらったネクタイを着けられていました。その模様には「末永く一緒に」という願いがあるそうですから、陛下は沖縄の人たちに寄せる思いをネクタイで静かに示されたのだろう、と思いました。

――お言葉だけでなく、身につけるもので陛下の気持ちというのが見えてきますし、その思いは様子からもうかがえましたね。

そう思います。

【井上茂男(いのうえ・しげお)】
日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)。