指定ゴミ袋が入手困難…“苦肉の策”でゴミの量が増加…なぜ?
市民が有料で購入する自治体指定のゴミ袋が、入手困難となるほど不足する事態が相次いでいます。“市販の袋も認める”という苦肉の策に打って出た自治体では「ゴミの量が増える」という思わぬ余波も起きていました。
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news every.が訪ねたのは、西東京市のドラッグストア「あけぼの薬局ひばりが丘南店」です。
あけぼの薬局 田中静子さん
「こちらが西東京市指定ゴミ袋になります。これでないと(ゴミが)捨てられない形になっています」
西東京市では、一般的なゴミは市指定の有料の袋でなければ出せない決まりですが、このゴミ袋を購入した人からは「うれしいと思った。教えてあげたいくらい。困っている人に」と喜びの声が聞かれました。
――入手困難ですか?
ゴミ袋を購入した人
「困難なんてもんじゃないよ」
品薄状態が続き、市民を困惑させている市の指定ゴミ袋。あけぼの薬局でもなかなか入荷してこない状況で、1人が購入できる数を制限しています。
あけぼの薬局 田中静子さん
「西東京市の方で、生産が追いついてないような形。(以前は)発注をすれば、2~3日で全部入っていたんですけど、(今は)早くて半月後、遅くてその月には入ってこない」
市内のゴミ置き場には、指定のゴミ袋以外の袋に入ったゴミも置かれ、ゴミ捨て場の前には“指定のゴミ袋を使うように”という張り紙もされていました。
市によると、品薄の理由は、今年8月ごろに、生産工場の従業員が新型コロナウイルスに感染したことなどの影響で、生産能力が低下したこと。その後、安定供給を図るため、新たに別の工場でも指定ゴミ袋の生産を始めていて、順次、販売店への納品を行っているということです。
西東京市民
「このままなくなっちゃったら、どうなるのか心配」
「(袋のサイズが)20リットルのが売り切れてることが多くて、大きい40リットルとかを買って、対応してます」
また、隣の武蔵野市でも、工場従業員の新型コロナ感染などで市の指定ゴミ袋が一時、品薄の状態になりました。現在は解消に向かっているということです。
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一方、指定ゴミ袋が足りず、苦肉の策をとったのが広島県呉市です。24日朝、ゴミ収集の様子を取材しました。市の指定は赤い袋なのですが、透明や半透明の袋で捨てられたゴミの方が圧倒的に多く見られました。
呉市 環境政策課 稲葉浩二課長
「(製造工場で)コロナのクラスターとかが発生して、製造が追いつかない状態になったため、『市販の袋でいこう』という措置に切り替えたというところです」
呉市では10月から、燃えるゴミを出す際に、市販の透明・半透明の袋も認める臨時の措置を導入しました。当初は今月までの予定でしたが、まだ指定ゴミ袋の安定供給のめどが立たないため、来年3月まで措置を延長したということです。
もともと有料の指定ゴミ袋には、ゴミの量を減らす狙いがありましたが、今回の措置で“ある影響”も出ています。
呉市 環境政策課 稲葉浩二課長
「現場の感覚では、(可燃ゴミが)2割くらい増えたのではないかと。市販の袋の方がどうしても指定ゴミ袋よりも安いので、その期間の間に『家の中のゴミを片付けよう』という意識が働いたのかなと思っています」
一般の袋も認めたことで、ゴミの量が増加していて、市は「できるだけ早く、指定ゴミ袋の供給を元に戻したい」としています。