「治療断念せざるを得ない」患者団体、厚労相に撤回求める 高額療養費“上限引き上げ”で
医療費が高い場合でも患者の負担が一定額で済む「高額療養費制度」。負担を増やす方針に反対し、がん患者らが厚労相を訪ねました。
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福岡厚生労働相
「みなさま方のお声をしっかり承らせていただきたい」
「高額療養費制度」をめぐり、12日に患者団体が初めて厚労相に直接、見直しの「撤回」を求めました。
高額療養費制度で、患者負担を減らすための補助は税金や保険料から出ています。政府は保険料を抑えるため、ことし8月から患者の自己負担額の上限を引き上げる見直しを決定。この見直しで、保険料は中小企業の会社員で年間3500円程度下がると試算されています。
一方、患者らは、自己負担が増えれば「治療を断念せざるを得ない」などとして、見直しの撤回を求めています。
がん患者の青山さん(仮名)
「普通に暮らしているから(自己負担が)1万上がるって結構なんですよね」
青山さんは慢性骨髄性白血病という血液のがんで、入院や1錠およそ6400円の薬を1日2錠のむ治療などを続けてきました。薬代は3か月で100万円ほどですが、高額療養費制度によって自己負担は約9万円です。
青山さん(仮名)
「私こどもが2人いる。がんになった時は中3と高3だったので、一番お金がかかる時期」
治療しながら医療従事者として働き、なんとか生活してきましたが、負担増に不安を抱いています。
青山さん(仮名)
「自己負担を上げることは、命とお金が比例してる感じがする。払えない人は“じゃあそこまでね”みたいな。ほんとうに上げるのだけはやめていただきたい」
患者団体は会見で…
患者団体
「多数回該当の引き上げについては、その引き上げを行わないことを、あらためて強く要望しました」
修正の焦点となっている「多数回該当」とは、直近12か月以内に患者負担の上限額に3回達すると、4回目から上限額を引き下げるもので、患者側は今回の見直し全体の“一旦凍結”を求めたということです。
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命に関わる病気の患者を守りながら、上がり続ける保険料をどう抑えるのか。検討が続いています。